“THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット” 第17弾『西参道公衆トイレ』利用開始! 水場を囲んでみんなが集う、うつわであり、泉であり、ときにコミュニティの場となる新スポット!
国内外で活躍するデザイナーや建築家が参加し、公衆トイレに持たれる“汚い・臭い・暗い・怖い” といった負のイメージを払拭するプロジェクトがいよいよ完結! 最後の1つとなる17箇所めが、京王線「初台駅」と「新宿駅」の中間部に誕生です!
*掲載内容は2023年3月24日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
スポット概要
THE TOKYO TOILET/西参道公衆トイレ
所在地東京都渋⾕区代々木3-27-1
利用開始日2023年3月24日(金)
利用時間24時間
最寄り駅京王線「初台駅」南口から徒歩9分、各線「新宿駅」8番出口から徒歩12分
プロジェクト特設サイトhttps://tokyotoilet.jp
『THE TOKYO TOILET』とは!?
渋谷区内にある一部の公衆/公共トイレを、よりキレイに、快適に、使いやすくしよう! と始まった公衆トイレリニューアルプロジェクトです。日本財団が音頭をとり、渋谷区や渋谷区観光協会の協力のもと、全17箇所のトイレを順次リニューアル。今回そのファイナルとなる第17弾めの利用が始まり、一足お先に覗かせていただきました。
多様性を認め合うこともプロジェクトの目的の1つとなっており、(場所により異なるものの)男性用、女性用、男女不問のだれでもトイレと、いろいろなトイレスペースを用意。健常者はもちろんのこと、体が不自由な方、クルマ椅子の方、オストメイトの方、そしてキッズと、だれもが使いやすく快適さをウリとしています。
第1弾の利用が始まった2020年8月から数え約2年半*で完結するこのプロジェクトは、「これが公衆(公共)トイレ!?」と目を疑う、オシャレなトイレばかり。それもそのはず、デザインしたのは日本を代表する有名デザイナーさんや建築家の方々で、名前を聞くだけでも「おおお〜」となる方ばかり。
*プロジェクトスタートは2018年。利用開始が2020年。
思わずいろいろ回りたくなる個性的なトイレばかりで、公園に隣接しているスポットも多いなど、地域のランドマークともなっています。
このプロジェクトはメンテナンスにも特別力を入れており、清掃は、1箇所につき1日2回〜3回と複数回実施。プロジェクトにあわせデザインしたユニフォームを着た清掃員の方が、定期的にキレイにしているんです。清掃員の方はトイレの状況を関係部署にリポートとして提出するほか、”トイレ診断業者”と呼ぶ 専門職の方が現状を確認と、クリーンで快適に♪ を徹底しています。
清掃員の専用ユニフォーム/写真は第9弾 『鍋島松濤公園トイレ』取材時のもの。デザインはNIGOⓇさん。
ちなみに実際にトイレを建てるのは建築大手の「大和ハウス工業」。トイレ機器の供給は、水まわり製品の大手「TOTO」が全17箇所すべて担当しています。
第17弾『西参道公衆トイレ』とは!?
クルマ通りも多い大通りに面した「西参道公衆トイレ」は、思わず「あれなに!?」となる、特徴的なデザインでも一際目を引きます!
プロジェクトファイナルとなる第17弾をデザインされた担当クリエイターは、藤本壮介さん。国内外で活躍されている建築家で、トイレ自体は、これまでにも幾度か設計されたことがあるそう。
もっとも小さい公共建築といえる、公共トイレのプロジェクトに参加でき嬉しいと藤本さん。デザインするにあたり、人の行き来が多く、脇には緑道があるこの場所で、どう公共性を持たせるかに苦心したとのこと。
場所は「初台駅」と「新宿駅」の中間地点。首都高4号新宿線を見上げる明治神宮・西参道から伸びる道路と、20号線(甲州街道)の交差点付近。脇には「代々木緑道」と呼ぶ緑に囲まれた散歩道やミニ公園からなるエリアがあります。
なだらかな面とラインで構成された建物は、うつわのように大きな曲線を描く斬新なもの。どことなく船のようにも見えませんか!? ちなみに空間に溶け込ませるため、あえて高さを低く抑えているとのこと。建物のおおよそのサイズは、高さ3m×横幅12m×奥行き3.5m。
デザインするにあたり念頭に置いたのは、公衆(公共)トイレは“都市の中の水場であり、街の泉”という考え。用をたすためだけのトイレだけでなく、ふらっと手を洗う場であり、水を汲む場であり、手を洗うなかで会話が生まれる場となりえる、ある意味、トイレが1つのコミュニティスポットとなるということ。
ローマのトレヴィの泉など、ヨーロッパでは水場が街中にあるケースがありますが、水場があることで、見た目も気持ちも豊かになるという狙いもあるそうです。
うつわ風の手洗い場
最大の注目ポイントは建物正面にある、大きくアールを描く手洗い場。男性・女性・だれでもトイレとそれぞれのスペースには専用の手洗い場が備わっていますが、それとは別に「うつわ」のような大きな手洗い場があるんです。
この「うつわ」形状にたどり着くまで、かなり苦労したと藤本さん。反る角度、高さなど、微調整しながら現在の形に落ち着いたとのこと。
その「うつわ」にある蛇口の数は、なんと5つ(!)。うつわを両側から囲む(水を囲む)シーンを意識し、道路側から、そしてトイレ側からと、蛇口がどちらの方向からも使えるようにしています。いろいろな人の思いが受け止めえられるカタチ、それが「うつわ」といえそう。
蛇口形状もオシャレ。すべての水は中央に集まり、そこから排出される仕組みです。
「うつわ」にある蛇口は、固定している位置で高さが違います。両端の高い位置は大人の方が、もっとも中央に近い低い蛇口は子供がと、使う方の身長にもあわせた利用が可能です。
うつわの足元部分の、右側だけが大きくエグレていますが、じつはこれ、クルマ椅子用。クルマ椅子に座ったままでも利用できるよう、足元に空間を設けています。
うつわのアクセントとなっている植栽は、常緑種「ハイノキ」。グリーンを配置することで、水と自然が同じ水を共有していることを意識させる狙いも。育ちすぎて葉がモリモリしない品種をあえて選んだとのこと。根は、うつわ本体下の路面部で張っているそう。
出入り口は左右双方向
「西参道公衆トイレ」は入り口が左右2箇所にあります。これは今回の敷地が横長だったことや、通り抜けやすさから採用。出入り口はアーチ状となっており、男女の各トイレまでの導線も明解と出入りしやすい反面、トイレを利用しない方がトンネルをくぐった先にいると違和感を感じるようと、セキュリティーにも意識しているそう。
特徴的なアーチ形状ですが、アーチ内はボックス形状ではなく、天井はなし。「うつわ」側から丸見えの状態と、各個室までの道のりが密室状態とならない、開放的な形状となっています。
雰囲気向上に加え、セキュリティー面での効果も期待したい照明を、足元の壁、複数箇所に設置しています。
利用者の気持ちを和らげる効果もありそうな特徴が、各部の優しいアール処理。アーチやドアの角など、カクカクしたポイントが極力排除されています。
色にもこだわりが
建物は全身ホワイト! 清潔さ、クリーンな印象を与えるだけでなく、ホワイトはどこから見ても光り輝いているように見えるなど、視認性も高いとのこと。
塗料自体も特殊で、「光触媒ペイント」と呼ばれるウレタン系コーティングペイントを利用。これは表面に付着した汚れが太陽の光で浮き上がり、雨等が当たると流れ落ちるという、自浄作用がある塗料*だそう!
*特殊塗料による塗装は、建物全体ではなく表に出ている外観部分のみ。
気になる内部は!?
各トイレのレイアウトはこんなカンジ。お皿の形状にあわせて、建物片側がしなっています。
男女兼用のだれでもトイレが端の側面部にあり、女性用、男性用がそのアーチをくぐった先にあり。女性用、男性用ともに2部屋構成で、うち男性用は1つは小便器専用エリアとなっています。
【エリア1】だれでもトイレ(男女兼用)
もっとも広く、クルマ椅子の方からオストメイトの方まで、どなたでも利用できるバリアフリートイレは4.81㎡。おむつがえができる展開式のベビーシートやベビーチェアも備わります。着替えや荷物置きに使えるフィッティングボードはありません。
【エリア2】女性用トイレ
女性用トイレは2ボックス完備。入り口から向かって右側がやや広めで、ベビーチェアを完備していますが、場所柄もあり、広さはそこそこ。丸型の鏡を完備。
ちなみに全トイレ、壁や床には特別な装飾はなし。ホワイトの壁にアンバーの照明で統一と、シンプルに徹した仕様となっています。公衆トイレは傾向的に青系ホワイトのひんやりとした照明が多いため、あえて温かみのあるアンバーを採用したとのこと。
逆側の個室は便器と手洗い場のみ。縦長の空間はかなり狭く、扉を開けるとすぐ便器という状態。荷物の量によっては出入りもしにくい可能性もありそう。
【エリア3】男性用トイレ
男性用トイレの入り口部分も、女性用同様シームレスな形状となっており、向かって右側が小便器専用、左側が個室という構成です。小便器ルームには扉がありません。
ちなみに男性・女性など、各種案内用マーク(ピクトグラム)は、今回のプロジェクトにも参加されている佐藤可士和さんがデザイン。使う素材等、場所により一部アレンジは異なりますが、デザイン自体は全17箇所共通となっています。
男性用小便器ルームには、便器をなんと3つ完備。写真手前右端に手洗い場がありますが、すべて埋まった場合は室内がかなり狭くなる印象。混んでいる場合は、少し待った方がゆっくり用をたせそうです。
もう一方の男性用個室は扉を開けると目の前が即便器。扉と便器までの距離が近いため、荷物の大きさによっては出入りにかなり難義しそう。女性用同様、ベビーチェアも完備しています。
レポートまとめ♪
・視線を集める「うつわ」型の手洗い場を完備
・都心に潤いを与える「水場」という提案
・清潔であり汚れにくい特殊塗料で外装を保護
いかがでしょう!? 交通量が多い道路沿いで、行き来する人も始終耐えない場所にあるだけに、利用者はかなり多いと予想される「西参道公衆トイレ」。その独特なカタチも目を引くスポットですが、「うつわ」の手洗い場は、思わずちょっと使ってみたくなりませんか!? プロジェクトを締めくくるに最適な、話題性のある新トイレです♪
そのほかのトイレはコチラ!
編集部で取材した第6弾〜第16弾の「THE TOKYO TOILET」のレポートもご覧あれ♪
*第1弾〜第5弾は取材していません。
今回ご紹介した記事は
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