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文・写真： 山さん

“THE TOKYO TOILET／トーキョートイレット”第13弾が利用開始！ モニュメントであり、木漏れ日であり、ときにホタルな、自然さ香る『広尾東公園トイレ』へ行ってみよう♪

“汚い・臭い・暗い・怖い” といった負のイメージを払拭すべく、有名デザイナーや建築家が公衆トイレをリニューアルするプロジェクト『THE TOKYO TOILET』。その最新トイレが広尾駅からスグ近くの『広尾東公園』内に誕生。どんなトイレに仕上がったのか!?　早速覗いて見ましたヨ〜♪

＊掲載内容は2022年7月22日時点の情報です。内容を保証するものではありません。
＊掲載写真はすべて編集部による。

そもそも「THE TOKYO TOILET」とは!?

渋谷区や渋谷区観光協会の協力のもと、日本財団が音頭をとって、渋谷区内にある公衆／公共トイレ（一部）を、よりキレイに！　快適に！　使いやすく！　しようと順次リニューアルを図っている継続中のプロジェクトです。

単に綺麗に、そして新しくするだけでく、足を運ぶ価値のある、そのエリアのランドマークとなりえる話題性も見越し、各界で活躍する著名なデザイナーさんや建築家がデザインを担当する話題のプロジェクトです。

プロジェクトの対象となる渋谷区内の公衆トイレは全部で17箇所。諸事情により当初の予定よりも進捗は遅れているものの、現在12箇所が稼働。今回完成した「広尾東公園トイレ」で13箇所めとなります。企画スタートは2018年です。

このプロジェクトの大きな特徴が、デザインするにあたって「これはマスト」「これはNG」といった縛りがほぼないということ。担当者にかなりの権限が与えられた自由度の高い企画のため、「こ、これがトイレ!?」と、目を疑うユニークかつ斬新なトイレも複数現れるなど、大きな話題に。利用者にとってはスタンプラリー感覚（!?）で全部制覇してみたくなるほど、どれもが個性的なんです!

ちなみにリニューアルされるトイレは新規で起こしたものではなく、すべて建て替え。残り4箇所も2022年度中の完成を目指しています。

プロジェクトの詳細、稼働済みのトイレの情報は公式サイトでご確認あれ。
https://tokyotoilet.jp

通算13箇所めは、どんなカンジ!?

2022年7月22日・利用開始
【広尾東公園トイレ】

通算13箇所めとなる『広尾東公園』は、広尾ガーデンヒルズへと続く上り坂の途中にある区立公園。縦長の公園は坂にあわせて大きく3面で構成されており、うち今回リニューアルしたトイレが位置するのは中間部です。

トイレまでは園内の階段を使うほか、脇を走る車道に隣接する歩道から続くスロープを使ってもヨシと、健常者はもちろん、クルマ椅子利用も配慮した位置となっています。

園内最上段部には滑り台がありと、子どもが遊べるスペースもあるんです。

担当デザイナーは後 智仁さん

担当クリエイターは、広告やブランディングのほか、ファッションや建築、アートなど、幅広く活躍されている「後智仁（うしろともひと）」さん。

“人は、みんな違うという意味で、同じである”というTOKYO TOILETプロジェクトのコンセプトを具現化するトイレを目指したと後さん。「広尾東公園」は都心の公園としては緑が多く、大型マンション「広尾ガーデンヒルズ」が隣接するなど、生活圏に溶け込んだ公園であることを踏まえつつ、なにかを静かに訴え掛けるような、モニュメント的なトイレとなることを念頭にデザイン。

公共施設としての使いやすさ、ストレスなく誰でも気軽に利用できる空間とすべく、用意した個室はすべてジェンダーレス仕様。男性用、女性用でなく、用意された個室すべて「だれもでトイレ」である点は、TOKYO TOILETプロジェクトでも初とのことです！

トイレの大きさは、約幅7m×奥行3m×高さ3mとパッと見た印象はコンパクトなもの。建物3面がコンクリート打ちっぱなしとなっているなど、硬質感がありますが、個室入り口の反対側に巨大なモニターが盛り込まれている点が、とくに目を引くポイント。

15秒ごとに変わる、そのとき限りの光の演出

“人はみな違う”というプロジェクトのコンセプトにならい、その光はつねに変化するのですが、そのパターンはなんと79億通りも（！）。79億とは世界の人口にあわせた数値で、採用にあたってはお知り合いの数学者の方にも協力を仰いだとのこと。ほぼ間違いなく同じ照明には出会うことはない、一期一会の照明が迎えてくれるんです。

モニター内の（四角いマス目の）グリッド照明は、昼間はグリーン、夜間はホワイトに点灯する2ウェイ式。グリーンは木々の間からさす木漏れ日、ホワイトはホタルの光のような雰囲気もありと、自然豊かな公園の雰囲気にあわせたアレンジが施されています。近くで見るのもいいですが、ちょっと離れた場所からゆっくりと光の移ろい眺めてみるのも、オススメですヨ♪

屋根はモニター側に向かってややワイドに広がるほか、トイレの入り口側へ向かって傾斜がかかっています。鉄板を屋根に使う場合は波状にしたりすることもあるそうですが、今回は平らとのこと。

トイレを取り囲む植栽は、植栽専門の方が担当。「サンパスグラス（ススキ）」や「ローズマリー」、「タイム」と呼ばれるハーブ系がありと複数の植物が植えられています。元々そこに自生していたかのようの自然さを狙い、雑多感のある魅せ方をしているとのことです。

トイレの各エリアはこんなカンジです！

トイレは2部屋。｢男女兼用のバリアフリー（だれでもトイレ）｣のみ。部屋は基本同じ仕様となっていますが、手前側にはオストメイト用が、奥側には格納式のベビーベッドが完備されている点が異なります。

各部屋の用途を示すピクトグラムは、プロジェクトですべて統一。デザインは佐藤可士和さんが担当されました。

【１】だれでもトイレ（手前側）

常備される機器はすべて「TOTO」製。ウォシュレットです。ちなみにTOKYO TOILETは清掃にも強くこだわっており、専門業者が1日に2〜3回も（!）清掃と、クリーンで快適なトイレの維持を心がけています。

【２】だれでもトイレ（奥側）

奥側には格納式ベビーベッドが。ちなみに両部屋ともに便座の正面は一面鏡張りとなっています。これは空間をなるべく広く感じさせるためと、鏡に映ることでキレイに保てるという心理的効果を期待しているそう。

余談ですが、各部屋の鉄製の横開き。予想よりも重厚で、そこそこな重さがあります。

「広尾東公園トイレ」のまとめ

●変化し続ける大型のグリッドライティング
●ライティングカラーは昼夜で変化
●2つの個室はともに男女兼用の「だれでもトイレ」

いかがでしょう!?　緑豊かな公園内に溶け込む新トイレ。お近くに行った際にはぜひ立ち寄ってみては!?　ちなみにTOKYO TOILETといえばドイツの世界的映画監督ヴィム・ヴェンダースさんが、TOKYO TOILETプロジェクトで改修されたトイレを舞台に映像製作を行うと発表し話題となりましたよね！　今回の「広尾東公園トイレ」も撮影の候補になったりするの!?　と気になりますが、TOKYO TOILETプロジェクトを展開している日本財団は、今回の映像製作にはタッチしていないと担当者。この新トイレが登場するかは分からないとのことです。