【魔法の文学館/江戸川区角野栄子児童文学館】 親子で行こう! 角野ワールドをカタチにした、想像力を刺激する“いちご色”ライブラリースポット!
『魔女の宅急便』で知られる、日本を代表する児童文学作家の角野栄子さんの作品はもちろん、様々な児童書や絵本が読める新スポットが、2023年11月3日江戸川区に誕生。無限大の可能性を秘めた子どもたちの感性を刺激する、“貸し出しのしない図書館”を覗いてきました!
*掲載内容は2023年10月17日時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
スポット概要
『魔法の文学館』
所在地東京都江戸川区南葛西7-3-1 なぎさ公園内
開館日2023年11月3日(金・祝)
開館時間9:30〜17:30 *最終入館16:30
入館料【一般/15歳以上】700円(500円)、【子ども/4歳〜中学生】300円(200円) *( )は江戸川区在住・在勤・在学者割引料金 *3歳以下無料
休館日火曜日、年末年始(12月29日〜1月3日)
最寄り駅東西線「葛西駅」より都バス利用後徒歩約5分、JR京葉線「葛西臨海公園駅」より都バス利用後徒歩約5分
公式サイトhttps://kikismuseum.jp
【魔法の文学館】とは!?
日本を代表する児童文学作家として、半世紀以上の長きに渡り活躍されている角野栄子さん(1935〜)の作品や、(角野さん自身もセレクトに参加された)数多くの児童書や絵本に気軽に触れる場を提供することで、子どもたちが持つ無限大の可能性や想像力を刺激し、豊かな感性を磨いてもらう切っ掛けとなればと誕生する新スポットです!
角野栄子さんといえば、あのアニメ映画の原作ともなった『魔女の宅急便』でとくに知られていますが、2018年には児童文学界の“小さなノーベル賞”とも言われる世界的な賞も受賞されるなど、児童文学界の大家。今回の文学館も、代表作『魔女の宅急便』を意識した装飾や演出も複数見られるなど、作品のファンの方にとっては、新しい聖地が誕生したようなものかも(!? )しれません。
複数の階層を成すような、独特なデザインが目を引くオシャレな建物を設計したのは、話題性の高い建築作品を次々と発表している建築家の隈研吾さんによるもの。
今回のプロジェクトは、江戸川区の前区長の呼びかけに角野さんが応じ、構想から5年で誕生にこぎ着けた大きなプロジェクト(総工費18億円*)。じつは角野さんは、3歳〜23歳までの20年あまり江戸川区にお住まいになられていたほか、「江戸川区区民栄誉賞」の初の受賞者であられるなど、江戸川区ともつながりが深い方なんです。
*建物外と周辺で12億円、内部で6億円。
館内では角野さんの功績をたたえるコーナーや仕事場を再現したコーナーも用意。そもそも館内が、『魔女の宅急便』の舞台となる町「コリコの町」をイメージした“いちご色”で仕立てられているなど、“文学館=お堅い”なんてイメージは一切ありません! 足を踏み入れれば、思わず「わぁ〜」と胸躍る、角野ワールドを堪能できる空間が再現されています♪
ちなみに開館時点での1日の来館目標は600人。年間10万人を見込んでいるそう。
どこにある!?
開館は2023年11月3日。場所は江戸川区にある「なぎさ公園」。なぎさ公園には、野球やサッカーなどを楽しめる運動場のほか、ポニーに乗れる牧場があるなど、区内有数の大公園です。
文学館はその園内にある「展望の丘」と呼ばれる高台に沿って作られました。この丘は江戸川区でもっとも標高が高い場所(標高13.5m)であり、文学館は斜面に沿って建物がある変則的な施設となっています。ちなみに元々同地にはなにもなく、単純な丘だったそう。
文学館がある「展望の丘」は、豊かなグリーンと開放的な空間で、のびのび&のんびりできる憩いスポット。
「展望の丘」から旧江戸川を眺めた様子。「なぎさ公園」は、四季折々の花々が楽しめますが、なかでも有名なのがツツジ。シーズン中は雰囲気がガラッと変わります!
ポニー乗車体験は小学生以下対象。なんと無料とのこと!
文学館までのアクセスは、最寄り駅が2駅(葛西駅・葛西臨海公園駅)ありますが、どちらも駅からかなり離れています・・・。歩くと大人の足で片道30分(汗)。最寄り駅からはバスが断然オススメです(片道約10分)。
今回、編集部は東西線「葛西駅」から向かいましたが、葛西駅はバス停が多いのでご注意を! それを見越しては区でもバス停にある看板に印を付けるなど、工夫しています。ちなみに葛西駅から向かう場合は、⑨番乗り場です!
バス停から文学館までは、徒歩で5分程度の距離です。
葛西駅から向かった場合、下車するバス亭は写真地図の▲印部分。これまで「南葛西第二小学校前」と呼ばれていたバス停が、2023年11月3日から名称を「魔法の文学館入口」と変更されます。ちなみに文学館は地図の★印部分です。
バス下車後は、ご覧のような看板が随所に。その矢印に沿って向かうだけ。
蔵書数は1万冊!
開館時点のデータですが、館が抱える児童書や絵本は「1万冊あまり」。実際に一般の方が触れられる(表に出されている)のはそのうちの「8000冊あまり」とのことですが、それでも膨大な数。角野さんの作品はもちろん、国内外の様々な児童書・絵本に触れることが可能です!
角野さんご自身のほか、児童文学に精通した数人の選書スタッフが選出した本たちは、あえて明確なジャンル分けをせず本棚に収納しているのですが、これは「まずは自由に、自分の好きに、本を“探す”ことを楽しんでほしい」という思いからそうしているそう。
子どもが親に対し「これ、読んでいい!? 」なんて聞かずにどんどん読める、自由な空間を作りを意識したとのこと。さらに・・・。
と角野さん。ハナシの途中で帰ることがないよう、“(在館している間で)読み切れる”長さの物語を選ぶよう配慮したとのことです!
施設の性質上、今回の文学館は「子ども専用」スポットに思えがちですが、そんなことはなく、大人も一緒になって大いにお楽しみあれ。“子どもが面白いと思った本は、大人も面白い”が角野さんの信念とのこと。童心に返って読みふけることで、忘れていた大切なものを蘇らせる、気づきを与えてくれるかもしれません。
蔵書はラベルカラーで管理。低・中・高・ヤングアダルト向けと大雑把に分類。●シールは2F。■シールは1Fです!
スタッフさんによると、蔵書は基本的に同じ作品を複数冊用意するように心がけており、絶版となっている入手困難な作品はないとのことです。
ちなみに、本はどこで読んでも基本OK! 館の名物といえる「大階段」に座ってもヨシ、うさぎの椅子を使ってもヨシ、もちろんテーブル席もあります。秘密基地感覚で楽しめる小部屋数のボックスもありますヨ〜。
当日返却必須となりますが、気になる本を外へ持ち出して「展望の丘」の上で読むこともできるんです♪ 館外への持ち出し専用バッグや、敷物(クッション)も借りることが可能。開放的な空間のなかで、のびのび読書を楽しめますヨ〜♪
*1人2冊まで/当日17時までに返却/雨天時貸し出し不可
建物のポイントは!?
窓から覗くいちご色を引き立てるべく、外観はニュートラルホワイトでシンプルに。
グリーンに覆われた丘の上に位置する、珍しい場所に建つ魔法の文学館。設計を担当されたのは、日本を代表する建築家の1人である隈研吾さん。設計するうえでのポイントは・・・。
・・・というもの。外観は平屋根の白いおうちのような建物ですが、中に入ると広い空間が広がり、町に来たような不思議な設計となっています。町では光が強く入る場所があれば入らない場所もあるなど、光の差し込み方も念頭において設計されたとのことです。
館内はとにもかくにも広い! という印象。天井が高く、窓も随所に。名物といえる大階段からの眺めもじつに開放的。「空間の自由を味わってほしい」と隈さん。
ポイントは屋根にも!
斜面に沿う珍しい建物ですが、外観最大の見所は「フラワールーフ」と命名した屋根に。花びらが広がるような特徴的なデザインとなっているんです! ・・・が、残念ながらそれを目視で確認できるスポットは存在しないとのこと・・・(ざ、残念すぎる)。公式サイトではドローン撮影による写真が掲載されていますのでそちらで確認あれ。
屋根の形状を直接目視はできませんが、館内いなる案内図を見ると、そのカタチが少し分かるかも。実際には1F〜3Fまでが重なっている状態となりまうが、珍しい形であることは、十分分かるはず!
内部の“町”がコレ!
建物自体の設計は隈研吾さんですが、内部のデザイン・装飾は、アートディレクターのくぼしまりおさんが担当。くぼしまさんは角野さんのお嬢さん。ある意味もっとも角野さんの作品の世界観を深く知る方です!
コンセプトカラーは「いちご色」。ピンクや赤ではなく、いちご色ですヨ♪ いちご色は角野さんのテーマカラーなんです。「魔女の宅急便」の舞台である「コリコの町」をイメージし、館内随所に小さなおうちのような「小箱」が集まってできた1つの大きな町となっているんです。
ちなみに延べ床面積は約1660㎡とのこと。
使い勝手にも考慮し、踏み面部分を広くとり、蹴り上げ高を低くするなど、子どもたちや高齢者でも行き来しやすい設計に。
館の象徴的スポットといえる「大階段」は、1Fと2F、2Fと3Fをつなぐ2セクションで構成。「大階段」は上下階往復だけでなく、そこに座っての本読みももちろんOK! 読み聞かせなども行う予定があるんだとか。ここで座って読む子どもたちに配慮して、向かって右端(手すり横)に“往復専用”階段も用意されています♪
1F〜3Fの移動は階段だけではありません! エレベーターも用意されていますのでご安心を。だれでも利用できる丘の上にありますが、文学館への入退出は1Fフロアのみとなっています。
【1F】コリコの町・同本棚ほか
館内に入ると、大階段とともに目につくのが『コリコの町』と呼ばれるエリア。作品の世界に入りこんだような、気持ちが和むいちご色の世界が広がります。
注目はTV画面のような街灯モニター。来館者を歓迎するオープニングムービーが1時間に1回上映♪ 角野さんご本人が登場し、みんなを歓迎してくれますヨ〜。
角野さんのご挨拶に続き、エリアの壁を使った歓迎のプロジェクションマッピングショーを上映。角野さんの作品に登場したいろいろなキャラクターが登場するオリジナルプログラムで、パターンは全部で4種類。ぜひ全部ご覧あれ。
「コリコの町」にはユニークな仕掛けも! 思わず開けたくなる引き戸や、覗いて見たくなる穴、ユニットを使うと不思議な絵が現れるギミックなど、子どもたちの想像力を刺激するギミックがいろいろ隠れています♪
「コリコの町」の先には「コリコの町の本棚」と呼ばれるライブラリーコーナーが。ここでは気になる本を好きに選び、自由に読むことが可能。用意された本はいろいろ。この1Fだけで1000冊あまりあるそうですヨ〜。
「コリコの町の本棚」にあるこの円形状のエリアは、角野作品専用エリア。角野さんが生み出した(現在読める)作品が数多く揃っています♪
シアターへ続く細長い廊下では壁にも注目を。黒猫のジジが窓枠つたって移動したりと、路地裏感を演出♪
1Fフロアには特別な視聴覚室「黒猫シアター」も。細長い廊下の先に特別エリアがあり、そこで角野作品に登場する人気キャラクターとやりとりしながら楽しめる、インタラクティブ(双方向型)プログラムを鑑賞可能です。
1回10分/12〜15人程度のプログラムですが、参加は入館時にもらえるご覧のチケット風しおりに、開始時間が印字されています♪
【2F】ライブラリー・アトリエほか
2Fには「ライブラリー」と称する、文学館イチの本棚コーナーが。蔵書数は約7000冊。ガラスエリアも広く確保されており、採光性も抜群。写真奥に見える、波を打ったような本棚には角野さんの作品を集めているとのこと。
「栄子さんのアトリエ」では、仕事部屋をイメージした空間を再現。棚には作品制作にインスピレーションを与えたであろう数々の小物たちが、デスクには直筆原稿(!)などが並べられています。この脇には、角野さんをより深くする特設コーナーも用意されています。
そのファッションにも注目が集まる角野さん。ワンピースなど、愛用品の展示もあります。
大階段をあがった先にある踊り場にも、おうちのようなカタチをした本棚が。ポイントはそれが移動式であること。本棚ごと、コロコロ動かせます。
さらに2Fには、期間限定の企画展などを行う特設展示室「ギャラリー」を用意。こけら落としとなる第1弾は2023年11月3日〜2024年4月8日まで魔女の人形等を集めた展示会「魔女まじょ展」を開催。入館者であれば、どなたでも無料で鑑賞可能です。最新情報は公式サイト等でご確認あれ。
【3F】カフェほか
最上階エリアとなる3Fではカフェスペース「カフェ・キキ」を展開。角野作品に登場するメニューなど、作品を知る方なら思わず「あっ」となる写真映えするメニューがいろいろ。開放感抜群なガラスエリアのテーブル席のほか、カウンター席(合計約50席)が用意されています。
ちなみにカフェが利用できるのは(現時点では)入館者のみ。カフェだけの利用はできないとのこと!
【メニュー詳細はコチラ】https://kikismuseum.jp/shop/
カフェには、心地いい風を感じながら楽しめるテラス席(10席)もあります♪ 旧江戸川や丘からの眺望を楽しみながらお食事をどーぞ。
コチラも注目!
エントランス1F部分には、ショップエリアも完備。角野作品関連の各種グッズのほか、文学館を紹介する図録、文具、ファッション雑貨など、その数ザッと130種類以上。うち120種類程度が、文学館のために製作したオリジナルなんだそう!
ちなみにショップの利用も(現時点では)入館者のみ。物販利用だけでの入館はNGとのこと!
じつはトイレにもこだわっています♪ さすがにここまで全面いちご色ではありませんが、壁に角野作品のキャラクターがおごられているほか、手洗いの蛇口がいちご色になっていたりと、さり気ない違いが。バリアフリートイレはもちろん、おむつ交換台などもあります。
館内スタッフの衣装にも注目あれ。いちご色の上着に黒のズボンと、スタッフさんが一目瞭然。分からないことは遠慮なく聞いて見て♪
文学館そのものばかりに注目がいきがちですが、その周辺も整備しなおされています。小さな丘を利用した楕円系の滑り台といった遊具や、波打つようなベンチなど、ホワイトを基調とした設備も新たに追加。建物脇には、木漏れ日が心地良いゆったりスペースもあります。
来館は基本事前予約制
当日空きがある場合はその場での入館が可能ですが、入館は基本的に「事前予約制」となっています。混雑時は2時間ルールを適用するとのこと。詳細は公式サイト等でご確認あれ。江戸川区民や在勤者などを対象とした、入館割り引き特典もありますヨ〜♪
レポートまとめ♪
・子どもたちの想像力を刺激する、貸し出しのない図書館
・角野栄子さんの作品と功績をアピールする場
・作品の世界に没頭できる、いちご色の町が再現
・場所は丘の上。丘のうえでも読書可能です♪
いかがでしょう!? 「文学館」と聞くとちょっと近寄りがたい、お堅い印象を持つ方もいるかと思いますが、この「魔女の文学館」ではそんな心配無用です! 子どもたちが楽しく、自主性を持って、いろいろな本に触れることができる、あるようでなかったスポットなのでは!? ちょっとしたテーマパークのような雰囲気もあり。子どもはもちろんですが、大人の方にも、非日常感を味わう意味でもオススメ。童心に返りお楽しみあれ。
今回ご紹介した記事は
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