2024.12.13

特集記事

文・写真: 山さん
2023.02.24

“THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット” 第15弾『幡ヶ谷公衆トイレ』利用開始! そこはホール!? 集いの場!?  発想を転換。地域に溶け込む、“○○○にあるトイレ”という考え。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

国内外で活躍する有名デザイナーや建築家が参加し、公衆トイレの“汚い・臭い・暗い・怖い” といった負のイメージを払拭する話題プロジェクトもいよいよ佳境。残すところあと3箇所となりました。通算15箇所めとなるトイレは、過去14箇所とは明らかに違う思わず“へぇ〜”なトイレです!

*掲載内容は2023年2月22日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。

*掲載写真はすべて編集部による。

スポット概要

THE TOKYO TOILET/幡ヶ谷公衆トイレ

24時間利用可
男女共用
だれでもトイレあり

所在地東京都渋⾕区幡ヶ谷3-37-8
利用開始日2023年2月22日(水)
利用時間24時間
最寄り駅京王線「幡ヶ谷駅」から徒歩6分、「笹塚駅」から徒歩10分
プロジェクト特設サイトhttps://tokyotoilet.jp


そもそも『“THE TOKYO TOILET』とは!?

ボートレースの売上金からの交付金を財源として、子ども・障害者・災害・海洋・人道支援など、幅広く活動している「日本財団が音頭をとり、渋谷区内に数多く点在している、公衆/公共トイレの一部を、“もっとキレイに快適に、そしてより使いやすく”をモットーに、国内外の第一線で活躍している有名デザイナーや建築家*が、順次リニューアルを図っていくプロジェクトのことです!

*リニューアルするトイレは1人1箇所が基本ですが、建築家「坂 茂」(ばんしげる)さんのみ、『代々木深町小公園トイレ』と『はるのおがわ コミュニティパークトイレ』の2箇所担当のため、今回のプロジェクトには17箇所16人が参加されています。

企画に賛同した「渋谷区」や「渋谷区観光協会」の協力のもと、2018年から進められているこのプロジェクトでは、渋谷区内にある17箇所の既存公衆トイレを順次リニューアル。これまで14箇所までオープンしているため、“使ってみたヨ〜”という方もきっと多いはず。

デザインするうえでの大きな制限・制限がない点もこのプロジェクトの特徴で、これまでリニューアルされたトイレはどれもユニークで、創造性を刺激するものばかり。

ちょっと使って見たい・・・と自然と思わせる、これまでの公衆トイレのイメージとはまったく違う、いい意味でカルチャーショックなトイレばかりが次々と誕生しています!

そんななか、2023年2月22日から正式に利用が始まった『幡ヶ谷公衆トイレ』は、通算15箇所目。担当したのは「東京大学 DLXデザインラボ」のみなさんと、それを率いるマイルス・ペニントン教授です。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ
THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

今回のプロジェクトに関わった「東京大学 DLXデザインラボ」のみなさん。

東京大学 DLXデザインラボ」とは、デザインの視点から、様々なプロダクトや建築を企画提案している研究部門。スタートしてまだ6年と若いセクションながら、大学内にこういったセクションがあること自体かなりレアケースなんだとか。現在教授、スタッフ含め、約30名が参加。今回のプロジェクトにも、ペニントン教授を筆頭に、多くの方が携わっています。

第15弾『幡ヶ谷公衆トイレ』とは!?

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

『幡ヶ谷公衆トイレ』のコンセプトは・・・

トイレをデザインしないこと。

ん!? 「トイレのデザイン」がプロジェクトの目的でしょ!? と思われるかもしれませんが、要は考え方を転換。

今回の『幡ヶ谷公衆トイレ』は、トイレはトイレでも

・・・With Toilet(なにかに付随するトイレ)。

という考え。

トイレをストレートにデザインするアプローチもあれば、例えば「待ち合わせスポット」や「広場」に“付随”するトイレでもいいのでは!? という、これまでと発想(視点)が大きく違うんです。

「東京大学 DLXデザインラボ」では、今回デザインするにあたり、公衆トイレをいろいろな角度からリサーチしたのですが、そのなかで気がついたのが、「公衆トイレは(新しい古いに関わらず)そもそも入りにくい場所」ということ。

リサーチでは、「公衆トイレがあっても使わない・・・」「トイレに行きたい場合は、近くの商業施設などを探す」という答えがかなり多かったそう。

確かに。言われてみれば、そう考える方が多いのも当然といえば当然かもですよね。

今回の『幡ヶ谷公衆トイレ』は、そんな現状も踏まえたうえでの提案。もちろんトイレも含まれているのですが、それは一部。トイレは(極論いえば)脇役。主役はトイレではないというスタンスなんです。これは新しい!

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

トイレが入る建物自体は、知らない人が見れば倉庫!? と思えるほど、シンプル。高さは約5.4m。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

1/30スケールの模型で、今回の新トイレを見た様子がこちら。建物の手前にアプローチスペースがある。ちなみにそのアプローチは(将来的な道路拡張や延長の対象となる)計画道路に指定されているそう。

主役はなに!?

ならば主役はなにか!? といえば、それはトイレ以外のスペースである、(トイレが囲むような形となる)広場のような中央や建物手前部分。

つまり ↓↓↓ です!

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

「αスペース」と呼ぶそこは、ザッと6m強四方の空間。「α」とは「+α」のことで、待合スペースとして活用してもヨシ、イベントスペースとして活用してもヨシと、発想次第でいろいろな活用法ができるユニークなスペースということ。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

建物で囲まれた中央のαスペースだけでなく、手前のエントランス(アプローチ)部分もベンチレイアウトの変更対象となっています。フロア面に敷き詰められているのは、三角形と四角の御影石。アプローチ部は解放路。(トイレやαスペースの利用に関わらず)単純に行き来して構わない設計です。

αスペース手前の道路に面したスペースも、活用法はいろいろですが、なんといっても注目してほしいのはウッドベンチ。

じつはこのベンチ、座席部が脱着でき、レイアウト変更を自由にできるフレキシブルなものなんです! ウッドデッキなどでも知られる、耐候性も高い「イペ」の木を使った座席部分が取り外せ、それを支える左右のボラードと呼ぶステー(ポール)が地中に埋まる昇降式となっています。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

動かせるベンチでは盗難が・・・とならないよう、盗難防止機能も付けているとのこと。

中央と手前のアプローチスペースに、合計29箇所のボラードポイントが設けられており、使い方にあわせてボラードを立ち上げる場所を変更しベンチレイアウトを変えることが可能です!

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

1ベンチの幅は(ボラードからボラードまでで)1.2mで統一。レイアウトの仕方により、正方形や正三角形もできるよう配置されています。

例えば白いコンクリートの壁に映像を投影して鑑賞会を開く際には、ベンチを並行にならべてみたり、中央に作品を展示して鑑賞会を開く際は円形になるように変更したりと、自由自在。

「ボラードではなく、単純に動かせる椅子で事済むのでは・・・」という意見があるかもしれませんが、完全丸投げ(自由度高すぎ)では実際に使う方が迷う可能性もあるほか、使うからにはセンス良く楽しんでもらえればとの考えから、レイアウトの配置をあえて限定化しているとのこと。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

アプローチの一角にはご覧の階段が設けられていますが、じつはこの階段も理由あってのこの幅、この角度。座ってくつろいだり、ときに上映会などの座席として利用する際に丁度いいとして、あえて幅広い450㎜幅としています。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

中央エリアの天井にはスポットライトのほか、リングフックが数カ所。作品やポスターなどを天井から吊るせるようにとの配慮です!

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

場所は「笹塚出張所前」交差点(中央・矢印部分)。甲州街道へ向かう「420号線」と「431号線」がクロスする地点にあります。車道/歩道ともに利用者はかなり多く、トイレがある場所を以前から待ち合わせ場所 に利用する方も。今回のリニューアルはその点も意識しつつ、“待ち合わせ場所”となりうるデザインも念頭に置いたそう。

トイレはどんなカンジ!?

今回のリニューアルではあくまで付属的な存在となっているトイレですが、俯瞰で見ると建物内部はこのような仕様となっています。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ
THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

3つの角にあるのがトイレ。どれも三角のスペースに収まっていることが分かります。3つのうち1つは男性用小便器エリア。残り2つは男女兼用タイプ。兼用の扉は、自動で開閉するボタンスイッチ式です。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

ピクトグラムはプロジェクトにも参加している、佐藤可士和さんがデザインされたもの。今回のプロジェクト共通です♪

【エリア1】だれでもトイレ(男女兼用)

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ
THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

建物向かって左側にあるトイレは、男女兼用。着替えができる格納式フィッティングボードのほか、オストメイトの方が利用できる設備も整っています。クルマ椅子スペースも確保されています。

【エリア2】男女兼用トイレ

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ
THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

中央部にあるトイレも男女兼用。オストメイトの設備はありませんが、その代わりに格納式ベビーベッドやベビーチェアを完備と、赤ちゃん連れに最適。着替え用のフィッティングボードもあります。

【エリア3】男性用トイレ

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

扉はありませんが、3つめの部屋は男性用小便器を2つ完備。

各エリアにはこんな特徴も

3つのトイレは基本三角形のスペース内にあるため、入り口部分は狭く、入ったあとは広くなる空間となっています。「広い ⇒ 狭い」とは違い、「狭い ⇒ 広い」空間の変化に対して、人は落ち着く傾向があるんだそうです。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

例えば男性用トイレは入り口の幅は850㎜と、人が2人通るには狭いですが・・・。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

内部は1800㎜程度ありと、開放的となっています。*写真奥左は掃除道具を入れる専用スペース。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

さらに全エリア共通の特徴といえるのが天井の高さ。どの空間も天井は約4mと、ほかのトイレにはないほど、空間が広く確保されています。

こんなところもお見逃しなく!

そのほかにも今回のトイレにはこだわり満載。例えば・・・。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

αスペース左右にある縦長の小窓。幅300×高さ4000㎜という僅かなガラスですが、これがあるだけで空間の閉鎖感が確実に解消。夜間ライトが点灯された際に、窓から光が抜け建物の雰囲気がグッと高まるとのこと。夜、どんな雰囲気となるのか、ぜひご自身の目でご確認あれ。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

建物本体はコンクリート製ですが、屋根はアルミ。周辺に今回のトイレよりも高いビルが多数あるため、それらから見下ろした際の見た目を配慮してアルミの屋根を追加したとのこと。アルミ屋根はご覧のようなパンチング仕様。これは見た目のアクセントとなるだけでなく、雨水の効率よい排水にも貢献するそう。

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

こちらは通気口。トイレの換気を促す意味で通気口は欠かせない要素なものの、単に追加するだけでは雰囲気を崩すとして、通気口もオシャレに。

レポートまとめ♪

THE TOKYO TOILET/トーキョートイレット 幡ヶ谷公衆トイレ

・通算15弾めは「○○○に付属するトイレ」という考え。
・多目的広場と一帯となったユニークな提案。
・フレキシブルに変更できるベンチも必見です!

いかがでしょう!? これまで発表されたトイレとは明らかに趣向が異なる、地域の方が集えるプチホールのようなこの新スポット。トイレであってトイレでない。あるようでなかったこの提案。これまであった公衆トイレへの抵抗も多少薄れるのでは!? 今後は渋谷区と協議のうえ、なにか催しモノなども実際に企画していければとのこと。訪れるたびになにかやっている、そんなスポットになっているかも!? しれませんネ。

そのほかのトイレはコチラ!

編集部で取材した、第6弾〜第14弾のレポートもぜひご覧あれ♪

今回ご紹介した記事は 

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以上、お出かけ情報満載のウェブメディア「オソトイコ」がお届けいたしました。関東1都3県ではこのほかにも楽しいイベントや気になるお出かけスポットがたくさん!オソトイコではそんなお出かけに役立つ情報を日々集めてお届けしております。今後もぜひ活用してくださいね!

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娘と一緒にハイキングや登山を楽しむ日を待ち望む、ただの編集者。

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