2026.05.24

特集記事

文・写真: 山さん
2026.05.22

稀代のイラストレーター、安西水丸さんが手掛けた“仕事”を、500点以上の資料と独自企画で巡る回顧展へ行こう!

イラストレーター 安西水丸展 会場風景

40年以上の長きに渡り、様々な分野で才能を発揮されたイラストレーター・安西水丸さんの「仕事」を振り返る巡回展に、今回独自の企画を追加したイベントが開幕! 長く愛され続ける秘密を探りに、立川へお出かけしませんか!? 《2026.7.12まで》

*掲載情報は2026年5月19日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。

*掲載写真はすべて編集部による。

イベント概要

『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』

撮影OK(写真・動画)
グッズ販売あり
カフェあり

会場PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟)
開催期間2026年5月20日(水)〜7月12日(日)
開催時間平日/10:00〜17:00、土日祝/10:00〜18:00 *最終入場/閉場30分前
入場料【大人】1800円、【大学生】1200円、【高校生】1000円、【小中学生】600円
休催日会期中無休
行き方JR線「立川駅」より徒歩約10分
主催PLAY! MUSEUM
公式サイトhttps://play2020.jp/article/anzaimizumaru/

【イラストレーター 安西水丸展】とは!?

イラストレーター 安西水丸展 会場風景

日本を代表するイラストレーターとして、1970年代から2014年に亡くなるまで精力的に活躍された安西水丸さん(1942-2014)の、「仕事」を振り返る回顧展です。

安西さんは小説などの表紙画や挿絵、長編や4コマなどの数多くの漫画、ベストセラーとなった絵本のほか……

イラストレーター 安西水丸展 展示作品 装幀

《象工場のハッピーエンド》1983年/CBS ソニー出版

イラストレーター 安西水丸展 展示作品 漫画ガロ掲載作品

《ガロ》no.209 表紙画/1981年/青林堂ほか

数多くの企業広告に携わり、さらに小説やエッセイを執筆されるなど、多分野で才能を発揮されたマルチプレーヤーでもありましたが、ご本人は職業を聞かれた際に必ず“イラストレーター”とお答えになるなど、その仕事に強い誇りを持っておられました。

イラストレーター 安西水丸展 展示作品 企業広告

《ラフォーレ原宿》《いいちこ》《無印良品》

“初期の頃から後年まで、大きく作品の雰囲気は変わっていないような気がする”、“(いい意味で)うまくならない人”だったと、本展関係者。絵を描くことを専門的に学ぶことで、個性が失われることが怖いと考えるなど、技巧的な上達を拒み続け、自身を「小学生の絵を描いている、普通の人」と語っていたとか。

また、子どものころから「絵を描く」ことが大好きで、それが自身にとって「あそび」であった安西さんにとって、「仕事」は「あそび」の範ちゅうにあったともいえました。

ときに素敵でカッコ良く、ときにユーモラスであり、ときにエロティックなイラストで多くの人を魅了した安西さんの作品には、どこかに「あそび」を感じさせる不思議な魅力があるんです。

イラストレーター 安西水丸展  愛用品

メガネを筆頭に、万年筆などの筆記用具、多用した「パントーン・オーバーレイ」と呼ばれるカラーシートなど、生前使われた愛用品。

今回の展覧会では、そんな安西さんが生前手掛けられた作品を、原画、版画、関連商品、仕事道具はもちろん、ときに制作時のインスピレーションとなったであろう、アトリエを彩った雑貨たちにも目を向けながら、携わった「仕事」をフォーカスする展覧会です。

展示総数はなんと500点! 見応え充分な内容となっています。

イラストレーター 安西水丸展 着用の服

生前愛用されていたワークジャケットとチノパン

そのイベントタイトルからピンと来られた方もいらっしゃるかと思いますが、今回の展覧会は、2016年から2024年まで全国各地をゆっくりと巡回してきたベースとなるイベント*があります。

基本的な内容はそれに準じたものとなっていますが、立川開催にあわせ再構成。初出展品を含め、独自企画を複数追加しています。

*東京開催は2021年の「世田谷文学館」以来。

詳細は後述しますが、安西さんの創作活動の原点ともいえる場所で撮り下ろしたオリジナル映像を交えつつ、代名詞といえる「ホリゾン」作品を、集中展示した特別エリアなどを新設。よりパワーアップした内容となっており、今後各地への巡回も計画しているそう。

PLAY! MUSEUM外観

『PLAY! MUSEUM』は2020年に誕生した、”絵とことば”がテーマの美術館。立川駅からはやや離れていますが、喧騒を忘れのんびりするに最適な、開放的なエリア内にあります。

会場の様子を覗いてみよう

会場では、“シンプルで個性的。たくさんの引き出しを持たれていた。生活の身近なところに、作品がある”と本展関係者が語る安西さんの魅力を、幅広い「仕事」の成果物とともに展観します。

今回の展覧会では音声ガイドはありませんが、展示物の脇などにある解説ボードが比較的多い印象。客観的に安西さんの「仕事」を解説したものがある一方で、安西さん自身が過去のエッセイ等で語ったコメントも複数散りばめられており、これがまた興味深い。解説ボードもしっかり読むことをオススメします!

装丁・装画の仕事

実際にどんな展示があるのかを見繕って紹介すると、まず装丁・装画の分野。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 装幀本

《「日本の文学」シリーズ》/1980年代/ほるぷ出版

夏目漱石や宮沢賢治など、日本の近代文学の名著を揃えた《日本の文学》シリーズの装画は、当時大きな話題を集めました。会場では、装画展示に加え、その制作作業の様子をとらえた貴重映像も上映中!

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 村上春樹装幀本

《中国行きのスロウ・ボート》装画/1983年/中央公論社ほか

装丁、挿絵はもちろん、ときには共著と、村上春樹さんとのコラボレーションも有名ですよね。

2人は村上さんが当時経営していたジャス喫茶で、知人を介して知り合い意気投合。“兄弟のよう”と呼ばれるほど、親交を深めたそうで、村上さんから出版社の担当者に、装画を安西さんにとお願いしたいと申し出て完成したのが初コラボ「中国行きのスロウ・ボート」なんだそう。

この仕事は、担当編集者ウケこそあまり良くなかったものの、各界で高く評価され、これを機にグラフィックデザインの世界に入った方もいるなど、大きなインパクトを残したことでも知られています。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 原画

《午後の最後の芝生》イメージ画

会場にはそれらコラボのほか、村上さんの初期の短編「午後の最後の芝生」をイメージして描いた、近年見つかったばかりという貴重原画が、立川会場で初展示されています!

余談ですが、安西さんは装丁の仕事を行う際、必ず対象となる本を読んだうえで取り組んでいたそうです。

絵本・似顔絵・文筆の仕事

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 がたんごとんがたごとん

《がたん ごとん がたん ごとん》

安西さんが手掛けた数多くの絵本のなかでも、とくに人気の高い「がたん ごとん がたん ごとん」シリーズ。安西さんは、“何度読んでも、もう1回読んで!”となるような、読むたびに驚きがある絵本づくりにこだわっていたそう。

会場には原画のほか、(別エリアに)ラフスケッチが展示されています。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 漫画

《似顔絵》

似顔絵も数多く手掛けていますが、ご本人はあまり似ていないことを気にされており、似てない顔をもじって「にながお」と呼んでいたとか。そのことを村上春樹さんに相談すると、”矢印という強い味方があるじゃないですか”と諭されたというエピソードも。確かに、似顔絵の脇に人物を示す矢印がある!

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 小説

《アマリリス》文字原稿/1989年/新潮社

安西さんは、イラストだけでなく、エッセイや小説など、文筆家としても活躍。会場には、独特な筆致を拝める実筆原稿の展示も。

ちなみに、自身の書籍の装丁は、ご自身で手掛けられておりました。

和田 誠さんとの2人展

同業者であり、同じ時代を生きた先輩として尊敬していたイラストレーター・和田 誠さん(1936-2019)ともコラボされており、同じテーマを二人で書き合って1つの作品を仕上げる、「NO IDEA」と呼ばれる2人展を開催。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 和田誠 二人展

《2人展》原画

2001年から始まったこの共作は、安西さんが亡くなる2014年まで続けられ、200点あまりの作品を生み出しました。テーマに沿って1人がまず書き、続いて空いている逆側にもう1人が書くというスタイルで仕上げるこのコラボは、あとから書く人が失敗できない……という、ちょっとした緊張感のなかで制作されたユニークな試みでした。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 未完の二人展作品

《(未完の)2人展》原画

会場にはそれら作品展示に加え、完成することのなかった未完の作品も展示。未完の作品は、安西さんの死後にアトリエで発見されたもので、和田さんに渡す前のため、片側が空いた状態となっています。

広告の仕事

先述の通り、安西さんは広告の仕事も多数手掛けており、とくに日本が元気が良かった1980年代〜1990年代にかけて多くの仕事をされています。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 広告の仕事

会場では、資生堂や東京ガス、無印良品、いいちこ、ラフォーレ原宿などの企業広告・ポスターのほか、ユーミンの「パープルピアス」のレコードジャケット・歌詞カード等の作品まで、幅広く展示中。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 レストランの壁画

なかでも必見は、壁面に描かれたトマトの作品。こちらは、帝国ホテル大阪内にあった「フライングトマトカフェ」の依頼で制作したタイル張りの壁画。1996年に制作されましたがその後お店が閉店となり、2022年に「ぴあアリーナMM」に移設*されています。

*紹介は青白ですが、絵柄等が異なる白黒バージョンもあり、そちらも移設されています。

楕円空間の特別展示

「PLAY! MUSEUM」といえば、会場内に楕円の大きな展示室があることで知られていますが、今回の展覧会ではこのスペースで独自企画を実施。

全長50mに及ぶ楕円空間の壁を利用して、安西作品の代名詞である「ホリゾン」と呼ばれる、1本の水平線を取り入れた作品を、70点あまり集中展示しているんです。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 ホリゾン作品

そもそも「ホリゾン」とは、作画面を横断する1本の水平線のこと。この1本の線を境に色を分けを行うことで、絵の中に広がりや奥行きが発生。見る者により強いインパクトを残しますよね。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 楕円展示室

楕円空間内では、ご覧のように「ホリゾン」作品がズラッと真横に展示。作品ごとに大きさは違うものの、よく見ると、展示作品すべてが1本の長いホリゾンとなるよう、線の位置で高さが揃っていることが分かるはず!

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 楕円展示室

さらに、会場中央にある巨大スクリーンでは「千倉の海」を撮り下ろしたオリジナル映像(中野正貴さん撮影の写真含む)を上映。

映像は様々な角度から捉えた3本程度のプログラムからなり、それがループ上映されています。心地いいギターの調べとともに、のどかな海の情景にしばし癒されてくださいませ〜。

ちなみに、その映像内の海の水平線は、展示作品内の「ホリゾン」とあわせてあるそう。凝ってます!

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 お気に入りの雑貨 ポパイ

楕円空間内には、「蒐集家」としても知られた安西さんの雑貨コレクションも一部展示。それらはときに作品のモチーフにも。とくに繰り返し登場したスノードームは有名ですよね。雑貨と作品を、見比べながら楽しむのもオススメです。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 楕円展示室

そんな「ホリゾン」作品や「雑貨」が展示されている、楕円空間へと進む道中も必見。壁に貼り付けられた文字は、3歳頃から中学卒業ごろまで過ごし、安西さんに大きな影響を与えた千葉県南房総の「千倉の海」が自分に与えた想いをつづったもの。

安西さんが過去にエッセイ等で発表した言葉を、いろいろな媒体から集め再構成し、それをカッティングシートにして壁に貼り付けるというユニークな試みです。空間中央へ向かって歩きながら読み切れるよう、分量を調整したそうですヨ。

ワークショップも!

安西さんのイラストを使った簡単なワークショップも、有料・無料とあり。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 缶バッジ作り

記念の缶バッジ作りは1回500円。イラストに着色したのち、専用マシンを使って完成させるプログラム。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 イラスト体験

一方こちらは、スノードーム型の紙に、自分が入れたいモノを描いて楽しむプログラム。参加は無料。完成した作品は持ち帰っても、壁に貼ってもOKです!

グッズ販売も充実!

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 Tシャツ

お待ちかねのミュージアムショップでは、限定アイテム含め、多数の商品を取り扱い。

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 ハンカチやキーホルダー、巾着

Tシャツやハンカチ、キーホルダー、ブローチ、ポーチ、食器などのほか、巾着に入ったあられ、専用缶に入った金平糖など、アレもコレも気になるグッズが多数!

イラストレーター 安西水丸展 展示風景 図録

安西作品を網羅した活動の全軌跡となる図録も、ぜひ保存版としていかがでしょう!?

イラストレーター 安西水丸展 お名前シール制作機

ショップの脇にはこんなものも。好きな名前を入れることができる、イベント限定のお名前シールマシン(1回500円)。絵柄16種類から選べます。

ちなみに物販エリアを利用できるのは、展覧会入館者のみです。

食べて、遊ぶ企画も!

イラストレーター 安西水丸展 コラボカフェメニュー

「PLAY! MUSEUM」に隣接している常設カフェ「PLAY! CAFE」では、展覧会とコラボした限定メニューを販売中です!

純喫茶をモチーフに、安西さんが大好きだったというカレーのほか、パフェなどを展開。うち注目は「ペンギンスノードーム」。いちごのタルトケーキ+フルーツのコンビで、ドリンク付きで販売!

写真のほかにプリントラテもあります。詳細はこちらへ(https://play2020.jp/article/mizumaru-cafe/)。

イラストレーター 安西水丸展 PLAY! PARKコラボ企画

ミュージアムの上の階にある、子どもたちの遊び場「PLAY! PARK」でも関連イベントを開催。

企画は2つあり、《みんなでAPPLE*》は安西さんのイラストにならって、自由にりんごを描こう! というもの。描いたりんごは館内に掲示され、会期終盤にはりんごだらけになるかも!?

*7月12日まで日替わりで開催。詳細は施設公式サイトでご確認あれ。

もう1つの《大きなお皿にながーい線を描こう》は、施設のシンボルである楕円の大きなお皿の側面にはった紙に、ペンを使ってグルッと線を引いてみようというもの(開催/6月14日のみ)。

どちらも参加料は無料ですが、通常の施設入場料が必要です。

レポートまとめ♪

イラストレーター 安西水丸展 メインビジュアル

・原画&関連資料など、展示総数500点以上
・40年以上に渡る多彩な「仕事」を展観
・70点のホリゾン作品を集めた独自企画も

親しみやすい独特のタッチのイラストで、いまなお多くの方を魅了する安西さん。安西さんは生前、“絵はうまい下手ではなく、描き手の味が大切”と語っていたそう。展覧会後、あなたももしかしたら“絵を描いてみようかな!?”と思うようになるかも。ぜひ挑戦してみてください。ちなみに今回の展覧会は、写真&動画ともに全面的に撮影OKとのこと! 気になる作品を想い出に残しては!?

イラストレーター 安西水丸展 フォトスポット

会場入り口にはフォトスポットも!

武蔵野美術大学でも安西展!

武蔵野美術大学では、9月14日(月)〜10月25日(日)の約1ヶ月間、安西水丸展《安西水丸とイラストレーション ── 絵があって、ぼくがいた。》を開催します! 同大学は寄贈された1万3000点あまりの原画を所蔵しており、今回はその中から厳選した作品を展示する予定とのこと。詳細は告知サイトでご確認ください。

今回ご紹介した記事は 

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以上、お出かけ情報満載のウェブメディア「オソトイコ」がお届けいたしました。関東1都3県ではこのほかにも楽しいイベントや気になるお出かけスポットがたくさん!オソトイコではそんなお出かけに役立つ情報を日々集めてお届けしております。今後もぜひ活用してくださいね!

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この記事を書いた人

山さん

娘と一緒にハイキングや登山を楽しむ日を待ち望む、ただの編集者。

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