2025.12.05

特集記事

文・写真: 山さん
2025.11.09

【大絶滅展 生命史のビッグファイブ】 知らないことだらけの生命史を学べる、話題展が科博で!

科博 大絶滅展 会場風景

地球上に幾度も訪れた危機をくぐり抜け多様な進化を遂げてきた生命は、大量絶滅の繰り返しによる産物であり、生命史を語るうえで、5つの大型事変は見過ごせない重大なインシデント。とても勉強になる話題展が、上野で始まりました♪ 《2026.2.23まで》。

*掲載情報は2025年10月31日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。

*掲載写真はすべて編集部による。

イベント概要

『特別展「大絶滅展 生命史のビッグファイブ」』

撮影OK(写真のみ/一部NGあり)
グッズ販売あり

開催地国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
開催期間2025年11月1日(土)~2026年2月23日(月・祝)
開館時間9:00~17:00 *最終入館/16:30
入館料/当日【一般・大学生】2300円、【小中高生】600円
休館日あり 詳細は公式サイト
アクセスJR線「上野駅」公園口より徒歩5分
主催国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
公式サイトhttps://daizetsumetsu.jp

特別展「大絶滅展」とは!?

科博 大絶滅展 会場風景 大型地球儀

上野にある「国立科学博物館(=科博)」で始まった特別展『大絶滅展』は、地球上に生命が誕生してからおよそ40億年の間に起こった、大量絶滅事変に注目した特別展です。

ときに小惑星が衝突しときに火山が大噴火と、予期せぬさまざまな理由で生命は大きな危機にさらされましたが、そのたびに生命は新しいグループへと変わり繁栄。

そのグループが再びインシデントにより絶滅の危機に瀕し、また別のグループが繁栄しと、絶滅と繁栄の繰り返しが現代へとつながる生命史となっています。

いわば、大量絶滅は新しい生命が繁栄する源でもあるわけです。

『大絶滅展』では、そんな大量絶滅、なかでもとくに規模が大きかったとされる、5度に渡る大量絶滅事変(=ビッグファイブ)に注目。それぞれの時代を生きた生き物たちの、生存をかけた進化の歴史を、貴重な史料やレプリカ等で振り返ろうという特別展。

「ビッグファイブ」をテーマとしたイベントは、長い歴史のある科博でも今回が初なんです!

科博 大絶滅展 福山雅治
大絶滅展 福山雅治

特別展のスペシャルナビゲーターは、シンガーソングライター、俳優、写真家と幅広い分野で活躍されている福山雅治さんが担当。内覧会にもご本人が登壇し、特別展の感想などを語っていただきました。左右の写真パネルは、NHKスペシャル「ホットスポット 最後の楽園」シリーズのロケで訪れた国々でご本人が撮影されたもの。

化石、レプリカ、復元模型と展示多数

まだまだ解明すべき謎も多いとされる「ビッグファイブ」をフォーカスするにあたり、科博の古生物研究者全員と、火山研究の専門家が参加するなど、多くの人員と時間をかけて開催される今回の『大絶滅展』。企画開始から開催まで、軽く4年以上かかっているそうです。

科博 大絶滅展 化石

当時の姿を鮮明に伝える、化石展示も多数。■写真/《カリプテリディウム(葉)とカラミテス(茎)》福井県立恐竜博物館

『大絶滅展』では、大小の化石や岩石、骨格といった本物の史料展示に加え、レプリカも数多く展示。本展開催のために新規で制作したレプリカも、多数あるそうです。

科博 大絶滅展 化石 恐竜

頭骨をはじめとした骨格展示は本物からレプリカまで多数。写真《キノグナトゥス(頭骨)》、《ティラノサウルス(頭骨)》ともに国立科学博物館

よりリアルかつ視覚的に絶滅生物を掴めるよう、生き物たちのリアルな姿を復元した展示も行うなど、一般の人にとっては、“恐竜の絶滅”以外はほぼ知らない……といっても過言でない史実を、視覚的に紹介してくれます。

科博 大絶滅展 化石 古代生物

古代生物の化石と、生きていた姿を再現した復元模型を使った比較展示も必見。■写真/《アクティラムス》国立科学博物館

科博 大絶滅展 化石

史上最大の絶滅とされる、2億5000万年前の火山活動を、ビジュアルで体験できるジオラマ風風展示も。流れるような溶岩演出も注目です!

さらに特別展では、大量絶滅と深い関連があるというモロッコで行った最新の調査研究の成果も発表。いろいろな角度から最新のビッグファイブ事情がわかる内容となっています。

科博 大絶滅展 発掘機

展示物は化石などの史料だけでなく、実際に現場で使用されている発掘道具類もあり。

5章+1章=全6章構成

科博 大絶滅展 会場風景

会場は5つの大量絶滅期にあわせた5章と、ビッグファイブ後の新生代に起きた生物の多様化をフォーカスした第6章の合計6セクションで展開*。

*ほかに導入部のイントロダクションやモロッコ調査の成果発表エリアあり。

ピックアップする5つの大量絶滅は、なにが原因となり、なにをもたらし、生き物たちはどう進化してきたのか!? 根拠となる史料とともに紹介する内容となっています!

科博 大絶滅展 大型地球儀

展覧会のシンボルともいえる地球の球体は、直径2mくらいはありそうな超巨大なもの。地球の歴史に迫る映像をループ投影する、デジタルサイネージ的な役目を果たしています。

展示物など以外でも注目すべきポイントがあり、それがエリアの展開スタイル。

科博で行われる特別展は、第1章→第2章→第3章と、通常1つの導線で展開されますが、本展はイントロダクション後に展開される、地球を模した巨大な球体(大絶滅スフィア)を起点とし、5つの大量絶滅を地質年代別に、“放射線状”にエリア分け。

1つの章を終えるとスフィアへ戻り、また次の章へと、これまでにない展示方法が採用されています。

科博 大絶滅展 会場風景
科博 大絶滅展 会場地図

「大絶滅スフィア」を基点に5つの大絶滅が展開。エリアは色で明確に区分けと、分かりやすいです。館内は一部除き、写真撮影可能です! *動画はNG

音声ガイドナビは福山さん

科博 大絶滅展 音声ガイド

特別展でフォーカスされるのは、地球上に生命が誕生したとされる40億年から遙かに手前の、5億4000万年前頃からですが、それでも天文学的に古い話。

歴史好きな方であっても、なかなか理解しきるには難しい謎も多い時代ですが、そこで役立つのが音声ガイド。難しくなりがちな課題を、ナビゲーターを務める福山雅治さんが解説してくれます。

音声ガイドは、ご本人いわく「ラジオドラマを聞いているような、楽しめる内容」となっているそう。(皆さんに楽しんでもらうべく)“モリモリ”の表現で録音されたとのことですので、ぜひご視聴しながらお楽しみあれ。

■会場レンタル版/650円、アプリ配信版*/800円

*アプリ版は2026年2月23日まで繰り返し視聴可能。会場外でも利用可能。

実際どんな展示が!?

先述した通り、展示内容は幅広いものとなっており、貴重な化石からレプリカなど、好奇心を刺激する大小の史料が多数。今回はほんの一部のみ厳選してご紹介します!

第1章/海の環境の多様化

最初の大量絶滅は、「オルドビス紀」と呼ばれる時期の末期。いまからおよそ4億5000万年前と、4億4400万年前の2度起こったとされる大量絶命期です。大規模な火山噴火が繰り返し起きたことなどが原因となり、急激な寒冷化が進行し、海の生物に大きな影響を与えたそう。

科博 大絶滅展 化石

古生物を代表する生き物といえば、教科書などでもお馴染みの「三葉虫」。「オルドビス紀」よりさらに前の5億4000万年前の「カンブリア紀」から、2億5000万年前「ペルム紀」ごろまでと長く生息。特徴的な甲羅(殻)は、炭酸カルシウムでできているそう。

科博 大絶滅展 化石

こちらは《エーギロカシス》と呼ばれる、オルドビス紀に生息していた、史上最大のラディオドンタ類(古生物の節足動物)。体長最大2mにもなるそう。会場には復元模型展示もありますが、パッと見、巨大なイカのよう! 国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石

《ユーリプテルス》は、化石標本がもっとも多く発掘されているウミサソリの一種。1つの層から複数の個体の化石がまとまって見つかった特異な例。豊橋氏自然史博物館蔵。

第2章/陸上生態系の発展

約3億7200万年前に発生したとされる「デポン紀後期」の大量絶滅。規模としてはビッグファイブ中、もっとも小さいそうで、絶滅の原因はまたも急激な寒冷化(水温が7度も低下)と、(海水中の酸素が広範囲に渡りなくなる)海洋無酸素化によるとされています。

一方、陸上では多くの森林が生息するようになり、それを中心とした新たな生態系が始まる時期でもあるんです。

科博 大絶滅展 化石

《ダンクルオステウス》は、強力な顎を持つ巨大魚。「板皮(ばんぴ)類」と呼ばれるデボン紀に栄えた魚類で、同紀末に絶滅。展示はレプリカ/国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石

こちら世界最古となる、《ワッティエザ》と呼ばれる木の化石。展示はトップのレプリカのみですが、実際には全長8mも。日本での公開は今回が初!シダ類の植物。■国立科学博物館蔵。

第3章/史上最大の絶滅

史上最大規模とされる大量絶滅は「ペルム紀」の末に起こったもので、いまから2億5000万年前に発生。シベリアで起こった大規模火山噴火でガスが放出。急激な寒冷化が起こった後、地球温暖化を招き、80万年で海水温度は13度も上昇。

結果、海域系で86%、陸上系で97%もの生物が絶滅。生き残ったほんの一部が、つぎに登場する恐竜、魚竜へとつながったそう。長く生き延びてきた三葉虫が絶滅したのもこの時期です。

科博 大絶滅展 化石

恐竜に見えるものの、哺乳類の遠い先祖とされる《ディメトロドン》は大型の肉食生物。展示中の全身骨格はレプリカ。国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石

一見なにかの植物の化石!? と思えるこちらは《ウタツサウルス》と呼ばれる、世界最古クラスの魚竜の化石。2億5000万年前の宮城県に分布する地層から発見されたもの。展示はレプリカ。国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石

頭が小さい《コティロリンクス》と呼ばれる単弓類(脊椎動物の一種)の全身骨格レプリカ。大きな体は、栄養価の低い植物の消化に適しているそう。栃木県立博物館蔵。

第4章/恐竜の時代への大変革

2億100万年前の「三畳紀後期(T)」と「ジュラ紀(J)」のT-J境界期に起こった大量絶滅。現在の北米大陸と南アフリカ大陸が形成された、大陸の分裂による火山活動により大量の二酸化炭素が発生し温暖化が加速。大気中の酸素濃度が低下したことで大量絶滅を招いたそう。恐竜が主役となる時代がここから始まります。

科博 大絶滅展 化石 恐竜

本展のハイライト展示の1つである、恐竜の全身骨格レプリカ。左の《レドンダサウルス》は全長12m・福井県立恐竜博物館蔵、右の《クリオロフォサウルス》は国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石 恐竜

肉食系恐竜《ポストスクス》は体長5mもあったとされ、前足が後ろ足よりも短く手のサイズも小さかったそう。展示はレプリカ/国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石 恐竜

現在のワニにも通じる特徴が見られる《プロトスクス》の全身骨格レプリカ。陸上を走っていたと予想されるそう。栃木県立博物館蔵。

第5章/中生代の終焉

もっとも近い(!?)約6600万年前に発生した大量絶滅は、直径10㎞(!!)の小惑星が衝突したことで発生。「白亜紀」末期に発生し、恐竜などが絶滅。小惑星衝突で吹き飛んだ岩石片はなんと宇宙まで及んだとか。その後、破片類は広範囲にわたり地球に落下。落下で過熱された地表の温度は、200℃まで急上昇したそう。

会場には、この時期の史料が充実する「デンバー自然科学博物館(アメリカ)」から多くの標本類が来日しています。

科博 大絶滅展 化石 トリケラトプス

ティラノサウルスと並ぶ人気を誇る、草食恐竜《トリケラトプス》の頭骨レプリカ。国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石 アンモナイト

白亜紀末に絶滅したとされている「アンモナイト」といえば、貝のような形が一般的なものの、なかには「異常巻き」と呼ばれる、伸びたり、ねじれたりする異形タイプも存在。すべて国立科学博物館蔵。

科博 大絶滅展 化石 ティロサウルス

《ティロサウルス》は下顎内にも可動関節があり、口を大きく開けることができたとされる。展示はレプリカ/いわき市石炭・化石館ほるる蔵。

第6章/新生代に起きた生物の多様化

『大絶滅展』では、5つの大量絶滅事変だけでなく、その後に起きた生物の多様性に着目したエリアを第6章として展開。6600万年前から現代までの「新生代」は、大量絶滅ほどの危機的状況はなかったものの、気候変動などにより生物の世界に大きな変化をもたらしました。

哺乳類が劇的に進化した時期で、世界初公開となる《ステラーダイカイギュウ》の実物化石の展示も。

科博 大絶滅展 化石 ステラーダイカイギュウ

第6章のハイライトは、全長6mに及ぶ、ジュゴンのような海洋生物《ステラーダイカイギュウ》の全身化石。2006年に東京・狛江の多摩川左岸で発見された世界最古のもの。

福山さん撮影の写真展も

科博 大絶滅展 写真展会場風景

メイン会場の先にある「第2会場」では、スペシャルナビゲーターを務める福山雅治さんが世界で撮影した、生き物たちの写真を特別展示。

全部で27点あり、作品に添えられた紹介文も福山さんご自身によるもの。お見逃しなく!

物販も充実!

科博 大絶滅展 販売グッズ

第2会場の先には、お待ちかねの物販エリアも。ぬいるぐみ、雑貨、アパレル、食品など多数扱っており……

科博 大絶滅展 図録

豪華図録(2800円)も販売! 特別展の理解をさらに深めるため、ぜひお役立てあれ。

科博 大絶滅展 すみっコぐらしコラボグッズ

なかでも注目は、ファンの間で話題となっているのが、「すみっコぐらし」とのコラボグッズ。古生物たちの着ぐるみをかぶった限定グッズが複数用意されています!

【詳細はこちら】https://daizetsumetsu.jp/goods.html

チケット複数あり!

『大絶滅展』のチケットは複数あり、通常チケットのほか、会場となる科博のすぐそばとなる「国立西洋美術館」で開催中の『オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語 展』のお得なセット券のほか……

自宅で楽しめる謎解きプリント付きのチケット、親子チケットもありますので訪れる前に公式サイトで確認あれ。

【詳細はこちら】https://daizetsumetsu.jp/ticket.html

レポートまとめ♪

科博 大絶滅展 サムネイル

・生命史におきた、5回の大量絶滅事変をフォーカス
・生命の繁栄・絶滅・進化を貴重な史料とともに解説
・視覚的にわかりやすいレプリカ展示も多数!

いかがでしょう!? 恐竜の絶滅だけでない、様々な大量絶滅の歴史が分かるこの特別展。専門用語も多く、内容的にやや難しい印象は否めませんが、解説板の漢字にはフリガナも付くなど、小学生にも配慮したものとなっています。今回は化石等に触れるといった体験展示はありませんが、史実を知る切っ掛けとして役立ちそう。親子でのお出かけを検討あれ。

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以上、お出かけ情報満載のウェブメディア「オソトイコ」がお届けいたしました。関東1都3県ではこのほかにも楽しいイベントや気になるお出かけスポットがたくさん!オソトイコではそんなお出かけに役立つ情報を日々集めてお届けしております。今後もぜひ活用してくださいね!

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この記事を書いた人

山さん

娘と一緒にハイキングや登山を楽しむ日を待ち望む、ただの編集者。

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