2025.04.02

特集記事

文・写真: 山さん
2025.03.25

特別展「古代DNA -日本人のきた道-」 多数の史料展示と最新解析で迫る、日本人のルーツを探る企画展が上野の科博で!!

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館

日本人のルーツを考えたこと、ありますか!? 最新のDNA解析では、従来よりも遙かに多くの、かつディープな情報を得ることが可能となっているんです。そんな解析技術の進歩で掴めた最新研究を知れる特別展が上野で開催中です! 《2025.6.15まで》

*掲載情報は2025年3月14日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。

*掲載写真はすべて編集部による。

イベント概要

『古代DNA -日本人のきた道-』

撮影OK(写真のみ)
音声ガイドあり
グッズ販売あり

開催地国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
開催期間2025年3月15日(土)~6月15日(日)
開館時間9:00~17:00 *入館は閉館30分前まで *一部指定日閉館時間に変動あり
入館料(当日券)【一般・大学生】2100円、【小中高校生】600円 *未就学児無料
休館日月曜日、5月7日(水) *3月31日(月)、4月28日(月)、5月5日(月・祝)、6月9日(月)は開館
最寄り駅JR「上野駅」公園口より徒歩5分
主催国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、東京新聞
特設サイトhttps://ancientdna2025.jp

【古代DNA -日本人のきた道-】とは!?

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館

日本のいろいろな場所から出土した古代人の骨。その中にごく僅か残っているDNAを、最新の解析技術を駆使してよりディープに見つめ直すことで見えてきた、日本人のルーツと進化を様々な史料とともに紹介する特別展です。

日本人は一体どこから来て、どこへ行くのか!?

古代人のDNA研究の歴史は意外に古く、1980年代まで遡ります。出土した骨にDNAが残っていることがわかったことから解析を始めるものの、そこからおよそ20年間は技術的な制約があり、母親側から受け継ぐ「ミトコンドリアDNA」がその対象だったそう。

それが、2006年に画期的な解析機器が実用化されたことで、ホモ・サピエンスと呼ばれる現代人の先祖がこれまでに辿ってきた過程は、従来想定されていたよりもはるかに複雑であることが判明。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子

よりディープに広く解析できるようになったことで、古代人の髪の毛、目の色、肌の色から、どんな病気にかかりやすかったのか!? といったパーソナルな情報だけでなく、古代の社会の構造や集団の成り立ち、血縁関係までもわかるようになったんだとか。

最新のDNA研究は、思わず「そこまで!?」となるほど様々な情報を解析できるようになっているんです。ご存じでした!?

今回上野の国立科学博物館で始まった《古代DNA -日本人のきた道-》は、従来説が覆されるほど、より精緻にわかってきた日本人の起源とその成立の過程を、おもに旧石器時代から古墳時代を対象に、北は北海道から南は琉球列島までと広範囲に紹介し、日本人のルーツを探っていこうというもの。

関係者が「(本展は)未来の考古学者の参考になる」と語るほど、興味深い内容です。

ちなみに、国立科学博物館で日本人をテーマとした展覧会はじつに20年ぶり。前回2005年は、“弥生時代のはじまりは定説よりも500年早い”と判明したことに起因して行われた《縄文VS弥生》というものでした。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 頭蓋骨

《山ノ神1号噴 2号主体3号人骨》府中市教育委員会

展覧会の性格上、頭蓋骨が多数登場する今回の展覧会。写真は古墳時代・4世紀の古代人。全体に降りかかっているような赤い顔料は、死者を送る際の風習によるもので、日本だけでなく世界で見られるという。

なお、このイベントは巡回展となっており、国立科学博物館後は名古屋市科学館で開催するそう。

旧石器時代ほか全6章展開

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子

会場は、導入部となるプロローグエリアに続き全6章で展開。

第1章は「ゲノム」と呼ばれる、人間を構成する設計図の全体像から見た旧石器時代の人々に焦点をあてつつ、縄文時代の人と社会の関係性、弥生人の社会、古墳時代の人々についてと、テーマを変えて展開されます。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内マップ

入館時に即手に入れたいのがこちらのマップ。館内の順路や見所が載っています!

例えば第1章のハイライトは、2万7000年前の古代人の骨。

ホモ・サピエンスが4万年前に日本列島にやってきたとされる定説を立証する化石証拠が、沖縄県の石垣島から続々と発掘されるなど、実情が明らかになりつつある過程で出土した貴重な古代人の全身骨格。入場後すぐにあります!

それをもとに制作した、「復顔」と呼ぶ再現顔も必見です。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 前身骨格

《白保竿根田原洞穴遺跡 4号人骨》沖縄県立埋蔵文化財センター

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 復顔

《白保竿根田原洞穴遺跡 4号人骨 復顔》国立科学博物館

2008年に新石垣空港を建設する際の調査で発掘された25体中の1体。旧石器時代の人骨がここまでまとまって出土するのは例がなしと、その後、国の史跡に指定。当時は仰向けの状態で遺体を折り曲げ、埋葬せず風葬していたんだとか。リアルな「復顔」も必見。

8K技術の高精細CG

特別展の見所の1つが、8K技術を駆使した高精細CG映像を使った特別な解説。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 CG再現

国立科学博物館とNHKのコラボレーションで実現したもので、出土した頭骨を詳細にデジタル化。対象物を様々な角度から撮影し3D化させる「フォトグラメトリ」と呼ぶ最先端技術などを駆使して、国立科学博物館が所蔵する文化財のデジタル化に取り組んでいるんです。

会場ではその8K映像が要所で上映。1回数分程度の長さですので、ぜひくまなくご覧あれ。必見です!

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 頭蓋骨

左:《大友遺跡 3号人骨(西北九州弥生人)》九州大学、右:《横隈狐塚遺跡ST-110人骨(渡来系弥生人)》九州大学

社会や精神文化を示す展示も

会場には、縄文時代や、水田稲作が幕を開ける弥生時代の暮らしを示す、土器や土偶などの出土品も紹介されています。

《相谷熊原遺跡出土土偶》は、縄文草創期となる1万3000年前の、日本最古の土偶とのこと! わずか3.1センチ。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 土偶

《相谷熊原遺跡出土土偶》滋賀県

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 土器

中央:《渡来系弥生人の土器 大形の壺》福岡市埋蔵文化財センター

土器に入れて埋葬する土製品。かわいらしいオブジェのようなクマやイノシシ、サルなどは、縄文人にとって“再生してほしい”ものだったという。自然の恵み、生命の循環と再生が込められている。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 土偶

右端:《クマ形土偶品》二戸市文化財埋蔵センター

日本列島に馬が登場するのは、古墳時代5世紀頃から。縄文・弥生時代に馬は存在せず、朝鮮半島との交流から日本にやってきたとのこと。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 馬の埴輪

《馬形埴輪》羽曳野市教育委員会

「イヌ」「イエネコ」のルーツも!

会場中盤には、なんとイヌやネコの進化の過程に触れた特設コーナーも。イヌはなんと縄文時代には存在し、人間の生活と関わりを持っていたそうです!

東アジアが起源とする「イヌ」の祖先が、大陸にいた「ニホンオオカミ」の祖先と交配。縄文時代以降、変わり続ける文化に適応すべくイヌも進化してきたとのこと。

会場には、江戸時代から明治までのニホンオオカミの複数の頭骨のほか……

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 犬

上:《弥生時代のイヌ(左/縄文型、右/渡来型)》 ともに模型
下:《梅田墓のイヌの頭骨》大阪市教育委員会

縄文時代や弥生時代のイヌの模型が展示されていたり(顔付きがキツネっぽい!)、日本の在来犬として江戸時代のイヌや現代の日本犬の頭骨なども展示と、かなり興味深い内容となっています。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 猫

上段:《リビヤヤマネコの剥製》
下段右:《ヨーロッパヤマネコの剥製》、下段左:《ステップヤマネコの剥製》
*すべて「ねこの博物館」所蔵

一方の「イエネコ」は、稲作が始まった弥生時代に持ち込まれたという説があるそうですが、最新の解析では現在の日本の「イエネコ」の起源は、平安時代前後に持ち込まれたネコが先祖である可能性が高いそう。

中東のリビアヤマネコが起源とされ、1万年前くらいから人間と暮らすようになり、交易を通じて中東から世界に拡散されたとのこと。

ちなみに日本最古のイエネコの骨は、長崎県のカラカミ遺跡の出土品(弥生時代中期頃)とのこと。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 猫の足跡の皿

《動物足跡付須恵器》姫路市教育委員会

ほかにもネコの足跡が付いた日本最古の土器や、ツシマヤマネコの成獣と幼獣の剥製のほか、ネコの墓石、さらにネコのミイラの展示もあります!

「南の島」と「北の大地」

亜熱帯や黒潮、サンゴ礁が特長となる琉球列島では、独自の縄文文化が発展し、弥生時代には貝を使った腕輪文化が広まり、九州と沖縄をまたぐ海上ルートの交易が発展。

一方日本列島の北部では、稲作を行わない「続縄文」と呼ばれる独自の文化をへて、北海道の先住民族であるアイヌを生み出すなど、本島とは異なる変遷を遂げました。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 アイヌ

奥:《エムシ(太刀)》伊達市教育委員会

アイヌの副葬品展示もあり、写真の《エムシ(太刀)》は柄に注目。目に付く表面は作り込んである一方、その裏面は簡素と表裏の装飾が一致していないんです。アイヌにとってエムシは、あくまで儀式や宝物の展示品という意識が強いことの現れとのこと(つまり武器として使うことを前提としていない)。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 アイヌ 頭蓋骨

左:《北黄金貝塚4号人骨(縄文人)》伊達市教育委員会
中央:《有珠モシリ遺跡7-1号人骨(続縄文人)》伊達市教育委員会
右:《大岬遺跡3号人骨(オホーツク文化人)》北海道教育庁

頭骨展示も。左から6000年前、2000年前、1500年前という変遷の流れ。例えば左の《北黄金貝塚4号人骨》は、一般的な縄文人に近いものの、大型生物を食べる食生活の影響から下顎の形が特長的。噛む力が強かったと予想できるという。

逆に《大岬遺跡3号人骨》は、顔面が縦長で頬骨が張りだしており、顔立ちは平坦と、シベリアなどの寒冷地で暮らす人と同じ傾向が見られるとのこと。

離れの第2会場も興味深い

第6章鑑賞後は、エスカレーターを使って、別室となる第2会場へ。

そちらでは特別に「中世」以降をフォーカス。中世は仏教の普及の影響から土葬が増えたことで、人骨はこれまで多く見つかっており、それら人骨からは、頭が前後に長く、出っ歯で、身長が低いということが判っているそう。

また「江戸時代」の人骨も特集しており、人骨から〟“身分によって顔付き(カタチ)が違う”ということが判っているそう。生活習慣や食生活の違いが影響しているんだとか。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 アイヌ 江戸時代の人

手前左:《江戸町人女性の中で最も平均的な頭蓋》国立科学博物館
手前右:《江戸町人女性頭蓋 復顔像》国立科学博物館

第2会場には、町人や武家女性といった身分の違う環境にいた人たちの頭骨と、その復顔を並行展示。町人が中世人的で、武家人が現代人的な傾向が。どう違うかじっくりご覧あれ。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 古代人の身長

本展ラストは、各時代の平均身長の比較パネル。結構小柄です。アナタはどのくらい!?

グッズ販売も充実

展覧会鑑賞後は、来館者だけしか利用できない物販エリアが。

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 図録

雑学含め、様々な情報を網羅したフルカラーの公式図録のほか……

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館 館内様子 グッズ販売

雑貨、アクセサリー、アパレル、ぬいぐるみ、お菓子など、イベントオリジナルグッズが多数用意されています! 人気イラストレーター、Noritakeさんとのコラボグッズも複数あります。

白い頭骨クッションは、闇夜でなんと光るそう!!

【グッズ紹介サイト】https://ancientdna2025.jp/goods

レポートまとめ♪

特別展「古代DNA 日本人のきた道」国立科学博物館

・最新DNA解析から日本人のルーツを探る
・NHKの8K技術を駆使した、必見の3D映像
・頭骨、復顔、貴重資料など、展示多数あり

いかがでしょう!? 最新のDNA解析技術がもたらした日本人のルーツを探るこの特別展。「じつはさぁ……」なんて誰かに話したくなる新しい気づきがいろいろありますヨ。ぜひ会場へ!

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この記事を書いた人

山さん

娘と一緒にハイキングや登山を楽しむ日を待ち望む、ただの編集者。

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