【特別展 鳥】 標本展示600点以上! 新たな視点で紹介する、見応え&学びがい抜群の注目展が科博で!
じつは知らないことばかりの《鳥》。科博で始まった注目展《特別展 鳥》は、基本的なことからマニアネタ、最新研究で判明した新事実など、誰かに教えたくなる情報満載! コレは行かねば! 《2025.2.24まで》
*掲載内容は2024年11月1日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
イベント概要
『特別展 鳥 〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統〜』
所在地国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
開催期間2024年11月2日(土)~2025年2月24日(月・休)
開館時間9:00~17:00 *入館は閉館30分前まで
入館料【一般・大学生】2100円、【小中高校生】600円
休館日月曜、12月28日(土)~1月1日(水)、1月14日(火) *ただし11月4日(月)/12月23日(月)/1月13日(月)/2月17日(月)/2月24日(月)は開館
最寄り駅JR「上野駅」公園口より徒歩5分
主催国立科学博物館、日本経済新聞社、BSテレビ東京
公式サイトhttps://toriten.exhn.jp
【特別展 鳥】とは!?
「へぇ」「そうなの!?」と思わずつぶやきたくなる、興味深い展示会を積極的に実施している上野の国立科学博物館で始まった最新展示会です!
今回フォーカスするのは、文字通りの《鳥》。
《鳥》といっても、その種類や系統、生態、分布など、知っているようでじつは知らないことだらけ。そもそも日本にどのくらいの種類の《鳥》がいる(いた)のかすら知らない・・・という方が大半では!? 本展は、身近な存在でありながら、じつは知らないことだらけな《鳥》を徹底フォーカスした展示会です。
《鳥》は生態系を維持するうえで、貴重な存在。「生態系ピラミッドを維持するうえでなくてはならない」と話すのは、本展の総合監修を担当された科博の西海さん。種子散布、花粉散布などを手助けし、生態系を豊かにするうえで極めて重要な存在なんです。
その種類は1万1000種あまり*に及ぶといい、この数は哺乳類を含む陸生脊椎動物の中で最多。日本列島には固有種、渡り鳥を含めおよそ600種以上確認されているそう。
*ちなみに哺乳類の種は約6000種あまりとのこと。
・・・しかし、残念ながら近年は、外来種の影響や狩猟、ペットとして販売するための捕獲に加え、地球温暖化、気候変動、森林伐採などにより、世界的にその数は減りつつあるんです。
本展はそんな《鳥》を、様々な角度から紹介し、多くの方に興味を持ってもらえればと企画されました。身近で、珍しく、個性的で、大きく、ときに絶滅した種など、圧倒的な展示数と情報量で紹介します。なかでも最大の注目は、「ゲノム」と呼ばれる、生き物の遺伝情報の解析研究をもとに構成されていること。
じつは《鳥》のゲノム解析は、人間の次に進んでいるんだそう。解析により鳥類の系統がより明確となり、これまで判らなかった事実も判明(例:「ハヤブサはインコやスズメに近い鳥だった」など)するなど、大きく変わりつつあるんです。
会場では最新のゲノム解析の成果をもとに、貴重な標本展示を多数交つつ、多様性や生態、体の構造、つがいの関係性などを、序章+8つの章で紹介します!
ちなみに科博で《鳥》の展覧会が開催されるのは、意外なことに“史上初”。バードウォッチャーでも見たことがないであろう《鳥》も複数展示と、かつてないほど《鳥》に特化した内容となっています。
興味を引く多彩な展示方法がポイントで、それらをザッと紹介すると・・・
標本展示が600以上!
科博の展覧会といえば、イメージが湧きやすい立体展示が数多くありますが、もちろん今回も、標本がふんだんに展示されています。
剥製・骨格含め、その数なんと600点以上! 知っている《鳥》、見たことがある《鳥》、始めて知る《鳥》と、とにかく多彩。一部高台など離れた場所にありますが、多くはかなり近い場所から鑑賞可能。通常一般に公開していない稀少標本も展示中です。
ちなみに今回展示される標本はごく一部。科博は《鳥》の標本を大量所有しており、その数なんと3000点以上! 大半は筑波にある施設で保管中とのこと。本展で紹介される標本は国立科学博物館所蔵品を中心。姫路科学館など、一部ほかの施設の所蔵品が含まれます。
標本展示は《鳥》単体だけじゃありません! 一部ですが、生態がより掴みやすいこんな展示も。
少数ですが、骨格標本展示も。意外な発見もきっとあります。
見入ってしまう企画展示
一部の章には、テーマ性を持たせた、様々なパネル展示もあり。写真は「翼」に注目した企画コーナー。丸い翼はゆっくりめに飛び、尖った翼は高速で。長い翼は風に乗りやすく、短い翼は強く羽ばたくに最適と、翼の形状による違いに着目。思わず「なるほどぉ」と唸る展示など、興味深い紹介が複数あります!
「鳥のひみつ」コーナー
会場内には、「鳥のひみつ」と呼ぶ特設コーナーが全部で23も。知られざる生態をテーマごとに紹介。子どもたちにも興味を持ってもらうべく、SNSなどで人気を博すイラストレーター「ぬまがさワタリ」さんとコラボ。描き下ろしイラストを使って、思わず「へぇ」なネタを教えてくれます。必見!
小学生にも優しい解説
科博の展示会は、掲出するパネル内の文章の漢字が“ルビ”付き! もちろん本展もルビ付きです。
判りやすさを追究した嬉しい配慮といえますが、解説文はすべてがとっつきやすいわけではなく、表現が全体的に硬めであるなど、展覧会の性格上、難解な専門用語もいろいろ登場します。
音声ナビはこの方々!
会場をまわるだけでは判らない、興味深い情報が得られる「音声ガイド」もあります♪ ナビゲートするのは、芸能界きっての鳥好きという芸人の「レイザーラモンRG」さんと、俳優としても活躍中のタレント「高柳明音」さん。お2人の、軽快な掛け合いにも注目あれ。
ちなみにRGさんは、日本野鳥の会の会員でもあるなど、バードウォッチングを趣味としているそう! おすすめは「第6章 猛禽類」とのことですヨ。
余談ですが、音声ガイドでは、得意とする“あるある”は封印。期待しないでください!
音声ガイドは会場レンタル版(写真)が600円、手持ちスマホで使ったアプリ配信で650円で利用可能です。
会場の様子を足早紹介!
一部となるものの、会場の様子もご紹介。序章〜7章までは同じフロアにあり、行き来が可能です。混雑しているエリアは後回ししてもOKです。
*【注意】8章は別フロアとなっており、序章〜7章のフロアを出ると戻れません。
序章・鳥を知ろう
情報を視覚で取り入れ、異性に好かれようとして着飾ったり、声で意思疎通を図ったりと、人間にも通じる存在ともいえる《鳥》ですが、そのなかには“絶滅”の危機に瀕している(またはすでに絶滅してしまった)ものも少なくないという事実。環境保全の重要性を考えることからスタートです。
【コウノトリ/国立科学博物館】
このエリアでは、日本で絶滅が危惧される《鳥》、残念ながらすでに絶滅してしまった《鳥》を5種類紹介。トキやコウノトリ、ヤンバルクイナなど、1度は聞いたことのある《鳥》に出会えます。
第1章・鳥類の起源と初期進化
骨、羽、翼といった《鳥》を構成する基本的な構造を改めて確認しつつ、獣脚類恐竜と呼ばれる《鳥》の祖先をフォーカス。《鳥》が持つ特徴を、恐竜がすでに持っていた事実を踏まえ、起源と進化を紹介します。
【タンチョウ/国立科学博物館】(左:剥製、右:骨格)
上空から巨大鳥飛来!
第1章では、史上最大の飛ぶ鳥という「ペラゴルニス・サンデルシ」の生体復元モデルを日本初公開。大きさは、現在最大の飛ぶ鳥である「ワタリアホウドリ」の2倍以上もあるんです。翼を広げるとなんと7mも! かなりデカいです! イベントの公式図録では、今回行った復元プロジェクトの模様を詳報中。これがかなり読み応えあります。ぜひお買い求めのうえ、ぜひご覧あれ。
第2章・多様性サークル
最新のゲノム解析の成果が、もっとも視覚的に判りやすく表現されたエリアがこの「多様性サークル」。
半円状エリアには、解析で分類された44の「目」と呼ばれる系統を円柱で表現。よく見ると、その長さが異なり「●●種」という表示が。例えば「インコ目」であれば、インコの流れを汲む《鳥》が408種類あるという意味。
突出しているのは「スズメ目」。なんと6719種。スズメに近い《鳥》が6719種もいるんです!
第3章・走鳥類のなかま
「走鳥類」とはダチョウやヒクイドリといった、体が大きくて飛べないものの、長く頑丈な足や鋭い爪を持つ《鳥》をフォーカス。
エリアには、卵の大きさを比較できる特設コーナーも。体の大きさの割りに大きな卵を産む「キーウィ」に注目。「近縁種」と呼ばれる、血縁関係の高い間柄とされる祖先(2000年前に絶滅)も大きな卵を産んでいたなど、知らない事実がいろいろ。
第4章・カモやキジのなかま
“食べる”という意味で、もっとも人間がお世話になっている《鳥》ともいえるのが「カモ」や「キジ」。「カモ」は丸く肉付きがいい水鳥、「キジ」は走りが得意でありながら飛べるという、ある意味理想的な生態を持つ《鳥》。
狩猟の対象となることも多いこれらは、大型の《鳥》が多く、お肉が美味しい傾向に。ヒナが生まれて数時間後に歩き、自分でエがとれる「早成性」と呼ばれる成熟スピードが比較的速い《鳥》でもあるそう。
人間にもっとも身近な《鳥》の1つニワトリ。その血統は紀元前1500年前まで遡るそう。オナガドリ、チャボ、ウコッケイなど、日本だけで45種、世界では250種も存在するんだとか。
第5章・陸鳥や水鳥のなかま
大小多彩な《鳥》に出会える、ある意味もっとも多彩なエリア。ハトをはじめとした陸鳥、ツルなどの水鳥などのほか、10種類を超える多種多様なペンギンたちが出迎えてくれます♪ ペリカンやカツオドリ、ハシビロコウと呼ばれる幅広いくちばしを持つ《鳥》など、興味深い標本がいろいろ。
今回のイベントは天井も見過ごせません! 第5章では、日本でもっとも有名なツルである「タンチョウ」(姫路科学館所蔵)が舞ってます!
小さなボックスに「カワラバト」・・・。目の前にはなにやら絵が。《鳥》が持つ特殊な能力を検証する実験の様子ですが、詳細はぜひ会場で。かなり興味深い内容です!
第6章・猛禽とそのなかま
ナビゲーターを務めるレイザーラモンRGさんイチオシの猛禽類エリアは、「ハヤブサ」「タカ」「フクロウ」など、とくに男の子がワクワクするような《鳥》がズラリ。なかには絶滅が危惧されている貴重な《鳥》も含まれていたりと、興味深い展示が続きます。
猛禽類の特徴として挙げられるのは捕食の方法。猛禽類は鋭い爪と強力な足を使って捕食し、(ほかの鳥が捕食に使う)くちばしは獲物をさばくためのツールであることと、大きな違いがあるんです。
ちなみに最新のゲノム解析で、猛禽類に属す、タカ類やノガンモドキ類、フクロウ類などの起源は共通であることが判明したとのこと。
キッズ人気も高そうな「ハヤブサ目」は、12属65種類もあり。
第7章・小鳥のなかま
6719種と、鳥類史上もっとも多くの仲間を抱える「スズメ目」の、幅広い仲間たちを紹介。「ワタリガラス」などのカラスも、スズメの仲間なんです。
ここでの注目は「フウチョウ」コーナー。別名「ゴクラクチョウ」とも呼ばれ、見事な羽根を持っており、12種類もの標本が一堂に会すのはとても貴重とのこと! これらの《鳥》はニューギニア等やオーストラリアに生息しているそう。
・・・と第1章から第7章を見てきました。7章終了時点で音声ガイドを返却、その足で、別会場となる「第8章」へ。8章では鳥と人との関係性を考える展示をおこなっています。
*第7章までのメイン会場を1度出てしまうと、戻れません。
ミュージアムショップも!
展示会のお楽しみである物販コーナーは、第8章の直後となる会場ラストに設けられています。イベントオリジナルグッズほかいろいろ。ちなみに物販コーナーを利用できるのは、特別展を見た人だけ。物販だけの購入はできません。
内容充実の図録は2400円(オールカラー/152P)。展示会場だけでは判らない貴重なネタ満載! おすすめです!
オリジナルグッズには、なんと銘菓「ひよ子」とコラボしたイベントオリジナル品も! スヌーピーで知られる「ピーナッツ」とコラボしたグッズも♪ 同作にはウッドストックがいますから!
【グッズ詳細はコチラ】https://toriten.exhn.jp/goods/#goodsBlock
レポートまとめ♪
・600点以上の多種多様な標本が一挙展示!
・ゲノム解析で判明した最新の系統分類で展開
・思わず「へぇ」となる23の「鳥のひみつ」も
身近な存在なのに知らないことだらけな《鳥》。難しい話もないとはいえませんが、単純に“見る”を重視して訪れるのもあり! 会期も2月下旬までと長め。お休みにあわせぜひ足を運んで!
第7章から第8章へ向かう途中の通路には、ご覧のフォトスポットも♪
今回ご紹介した記事は
いかがでしたか?
もう一度このページを先頭から見る
以上、お出かけ情報満載のウェブメディア「オソトイコ」がお届けいたしました。関東1都3県ではこのほかにも楽しいイベントや気になるお出かけスポットがたくさん!オソトイコではそんなお出かけに役立つ情報を日々集めてお届けしております。今後もぜひ活用してくださいね!