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『古代エジプト展・天地創造の神話』 日本初公開も多数! 考古学ファンならずとも気になる、話題の展覧会をフォトレポート!
ヨーロッパ最大規模の量と質を誇る、国立ベルリン・エジプト博物館が所蔵する中から130点あまりの所蔵品が日本へ上陸する『古代エジプト展 天地創造の神話』。これまでのエジプト系展覧会ではピラミッドやミイラを軸としたものが主でしたが、今回は違った視点で考察すべく“エジプト神話”をフォーカス。会場の様子はどんなものか!? 早速ご紹介です!
*掲載内容は2020年11月19日開催の内覧会時点のもの。内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
EVENT DATA
国立ベルリン・エジプト博物館所蔵
古代エジプト展 天地創造の神話
場所江戸東京博物館 1F(東京都墨田区横網1-4-1)
最寄り駅JR総武線「両国駅」西口から徒歩8分(編集部実測)
入館料【一般】30分/1800円、【大学・専門・65歳以上】1440円、【小中高】900円 *特別展+常設展セットあり *詳細は公式サイトへ(https://egypt-ten2021.jp/venue1/)
開催期間2020年11月21日(土)〜2021年4月4日(日)
開館時間9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日あり(毎週月曜・ただし2020年11月23日、2021年1月4日、11日、18日は開館)、11月24日、12月21日~1月1日、1月12日)
公式サイトhttps://egypt-ten2021.jp
*京都(2021年4月17日〜6月27日)、静岡(2021年7月10日〜9月5日)、八王子(2021年秋)でも順に開催予定
「古代エジプト展 天地創造の神話」とは!?
古代エジプト人が信じていた「天地創造と終焉の物語」という神話の世界にスポットを当て、
第1章「天地創造と神々の世界」
第2章「ファラオと宇宙の秩序」
第3章「死後の審判」
と3テーマにエリア分け。古代エジプトで考えられていた世界の生まれ方、単なる王様という枠には収まらない、ファラオが担った重要の役目、古代エジプト人は死後の世界をどうとらえていたのかを紹介するもの。
エジプト関連の所蔵物だけでも1万点(広報談)を越えるという、ドイツ・ベルリンの「ベルリン国立博物館群 エジプト博物館」のコレクションだけで構成された今回の展示会。展示数は約130点。うち100点あまり(じつに76%以上)が日本初公開です!
【↑】入場直後のフロアもお見逃しなく! 「ウジャトの眼」と呼ばれる、ホルス神の左目がライトアップ。治癒の象徴、病気やケガ予防の守護でもあるそう。
【↑】会場は両国駅、両国国技館からスグにある「江戸東京博物館」。特徴的な柱でも有名。会場は写真の建物の下、1Fです!
【展示内容は!?】
展示総数は134点!
見上げるほど巨大なものから親指の爪くらいの小さなものまで多種多彩。会場装飾はエリアごとに異なっており、古代エジプト神話を覗き見できるオリジナルアニメーションの上映も一部あり。
*初回の東京両国開催、次回の京都開催は1品少ない133点。
展示品はガラスケースに入っているものから、手を伸ばせば届いてしまうほどの距離にあるケースなしの直接展示までいろいろです!
ちなみに、“ミイラ”の展示はありません!!
【↑】第3章の死期のエリアでは巨大な石棺・木管類も多数。一部CGを併用する展示も。
【↑】座像・立像も、大小多数。大きさだけでなく、装飾や表情の違いにもご注目を。
【↑】僅か数センチという、小さい展示品が多数ある点も特徴です。
【↑】レリーフ類も多数あり。
【写真撮影は!?】
映像作品を除き、基本OK!
三脚やセルフィースティック、ストロボ類はNGです。
【↑】会場入り口にはご覧のフォトスポットも。来場記念にぜひ♪
【鑑賞時間は!?】
1時間半〜2時間
130点越えと展示数は多いものの、解説はエリア内の要所にあるボードでサラッと確認する程度(一部展示品は品名と推定時代のみ)。コテコテに学ぶという雰囲気ではなく、通常の博物館展示同様、雰囲気に触れるといった印象。肩肘はらず楽しめます。ゆっくり鑑賞して1時間半〜2時間くらいですね。
展示品には名称等の表示のほか、個別の解説も少しあり。有料音声ガイド(https://egypt-ten2021.jp/guide3/)もぜひ利用したいところですが、展示品をすべて解説するわけではありませんのでご注意を。ちなみに音声ガイドは2パターンあり。お好きな方でお楽しみを!
それでは早速見所をご案内!
プロローグ【すべては海から始まった】
古代エジプト人は「水」との結びつきが強く、世界は原初の海「ヌン」が元という考えはあるものの、その先は複数の物語があり、「ヌン」の海に浮かぶロータス(睡蓮)が世界を創造したとする神話もあるそう。
それを象徴するような作品がコチラ↓
【3匹の魚とロータスを描いた浅鉢】
描かれた魚は3匹だが頭は1つ。どれかが欠ければ存在しえない点に神秘性が。ファイアンスという焼き物。■直径10センチ ■日本初公開
*実際の展示ではエリア最後にあり、会場ではこの場所に後述するアヌビス神像が展示されていますが、スタッフによればとくに意味はないとのこと。本サイトでは、公式図録にあわせご紹介しています。
第1章【天地創造と神々の世界】
眼にするものすべてを創ったとする、古代エジプト社会の絶対的存在「神々」の世界を、「天地創造」「オシリス神話」「神々の多様性」とさらに3つに細分化して、神の姿や神が創った様々な物事を紹介♪
【↑】太陽、月、星から自然、動植物まであらゆる環境のなかに宿るとされる神の多様性を、空間全体で表現したインスタレーション的な空間も。
【有翼の女神、おそらくヌウト女神の形のミイラの装飾】
翼を広げひざまつく女神。棺の内側、装身具としてミイラに直接置かれたものという。■幅28センチ ■日本初公開
【ホルス神に授乳するイシス女神の小像】
豊穣の神、魔法使いとされるイシス神が、エジプトを支配することになる息子ホルス神に授乳するファイアンス像。■高さ9.7センチ
【シュウ神とテフヌウト女神の頭部を装飾したメニトのおもり】
宗教的儀式にも使用されたとされる装飾用の首飾り。青銅製。■高さ14.2センチ
【ひざまずき供物を捧げるナイルの神ハピ】
両性具有のナイルの神「ハピ」が刻まれたレリーフ。頭に載せているのは古代エジプトで紙の元となった植物、パピルス。■高さ85センチ
【セクメト女神座像】
高さ2m越えの2体の巨大座像はともに、ライオンの頭を持つセクメト神。
【聖油を塗るための匙】
パピルスの茂みの中にいるヘフ神の装飾が施された、ファイアンス製の青彩色のサジ。ヘフ神が手にするのはヤシ。無限の時の象徴。■高さ8.8センチ ■日本初公開
【バステト女神座像】
癒やしの女神、ライオンの女神、バステトに捧げられた猫の座像。ホルス神の眼が胸に刻まれている。■高さ22.5センチ ■日本初公開
【日輪を戴く礼拝するマングースの小像】
古代エジプト人にとって猫を越える存在という、マングースの直立青銅製。■高さ22センチ ■日本初公開
【腹ばいになる山犬の姿をしたアヌビス神像】
死者を守るために木管の蓋に取り付けられ、あの世への先導者ともなったアヌビス神の木製の山犬像。■26.6センチ
*実際の展示ではトップのプロローグエリアにありますが、スタッフによればとくに意味はないとのこと。本サイトでは、公式図録にあわせご紹介しています。
第2章【ファラオと宇宙の秩序】
マアトと呼ぶ秩序や摂理は、宇宙を支配する絶対的なものという考えであり、それを遵守・遂行する責任者であったという「ファラオ」。
第2章では全知全能の神の代行者、ファラオに関する出土品を「王権とマアト」「庶民信仰」「太陽信仰」「アルマナ時代」と4つに細分化して紹介。
【↑】ガラッと雰囲気が変わる第2章は、ザ・エジプト! 的な空間装飾で展開。
【ハトシェプスト女王のスフィンクス像・胸像】
多くが破壊されたとされるスフィンクス像。ご覧の胸像は鼻と口のみ修復しているものの保存状態が比較的いい。珪岩(けいがん)と呼ばれる岩製。■高さ97センチ
【アメンエムハト3世と思われる拝礼する王の立像】
エリアの最初に鎮座するこの立像は、大きな耳が特徴。他人の声に耳を傾けるという、開放的な姿の具現化とか。■高さ65センチ ■日本初公開
【二重冠を被ったハヤブサ姿のホルス神の小像】
特徴的な冠や胸部の装飾でアレンジされた、ホルス神の象徴、ハヤブサ。青銅製。■高さ26センチ ■日本初公開
【セティ1世王墓のブロック】
王家の谷にあるセティ1世の埋葬室に壁面にあった装飾の1つ。右側にアジア人が、左側にエジプト人が描かれる。■高さ104.5センチ ■日本初公開
【ハヤブサ頭のホルスの小像】(左)
【トキ頭のトト神の小像】(右)
高さ約10センチ程度の青銅製の小像は、王の即位を祝う儀式での聖水を注ぐ様子。■ともに日本初公開
【ハトシェプスト女王あるいはトトメス3世のスフィンクス像頭部】
人間の頭を持ったライオン像の頭部で、額に聖蛇、縞模様の頭巾を被り、長い付けヒゲを付けていることから王族と推測される。■高さ18.5センチ
【デモティックが記された香炉】
宗教的行事として行われた神々へ香を焚く際に使われた用具で、末端にホルス神の象徴、ハヤブサが見える。■長さ45.7センチ ■日本初公開
【神格化されたイアスメス・ネフェルトイリと思われる王妃の立像】
王妃がよく持つ葉を手にし、頭部にハゲワシとヘビ、牝牛の角と日輪付き二枚羽の冠を持つ。■高さ55.5センチ
【アメン神官ホルの方形彫像】
身体をローブで包み座る、珍しい立方体の彫像。穏やかで落ち着いた表情が、なんとも印象的。■高さ31センチ
【パタイコスの護符】
エジプト人に人気があったという守護神パタイコスの像。■高さ8センチ
【プタハメス墓のピラミディオン】
高級官僚の墓に置かれていたとされる、花崗岩の小ピラミッド(ピラミディオン)。■高さ39.5センチ ■日本初公開
【スカラベとして表現された原初の神プタハ】
古代エイジプトの象徴的な昆虫であるスカラベ(フンコロガシ)の身体に、人の頭と手が付く・・・というなんとも得体のしれない不気味さが。■高さ43センチ ■日本初公開
【太陽の船に乗るスカラベを描いたパネヘシのペクトラル】
スカラベの姿をした青い太陽神の両側で2人の神が見守る、ペクトラルと呼ばれる胸飾り。■高さ10.6センチ ■日本初公開
【ネフェルトイティ王妃、あるいは王女メリトアテンの頭部】
思わず見取れてしまうこの頭部の彫刻は、眼、耳、まゆが未完成とのこと。下書き(?)の様な線もハッキリ確認できる。頭の突起は、冠を後から取り付けることを前提としているそう。■高さ29センチ
【太陽賛歌が記されたネフェルヘテプのレリーフ】
表面が飴色にてかったような印象的なレリーフ。両手を挙げた姿は拝礼を示すものだそう。
【青色彩文土器】
一時期多く普及したとされる植物模様が描かれた土器。右側の上部が欠けた土器にはロータスの花が。■高さ50センチ/左、58センチ/右 ■日本初公開
【アクエンアテン王とネフェルティティ王妃の娘である王女の頭部】
髪の毛を剃った姿から、それが子供であることが判るそう。突出した後頭部は当時のエジプト人がこうだったというワケでなく、製作者のディフォルメだそう。■高さ14.7センチ ■日本初公開
第3章【死後の審判】
古代エジプトでは脳よりも心臓こそが、思考の要という考えがあり、死後、心臓を天秤に載せマアト(正義・秩序)を象徴する“羽根”と均衡がとれない場合、アメミトと呼ぶ怪物に心臓を食べられその後の再生・復活は叶わないとされるなど、極めて重要な臓器だったそう。
そんな死後の神話を「死者の変換」「死後の生活」に分け順に紹介。
【↑】死後の世界ということで、3つめのエリアは棺関連の展示が多いです。
【タレメチュエンバステトの『死者の書』】
死後に必要とされる知識や呪文を挿絵とともにパピルス紙に記した、全長4mに及ぶ長大な巻物。心臓を天秤にかけるシーンなども描かれている。■日本初公開
【カポノス容器】
死者のミイラを作る際に取り出した内臓を収めた壺「カポノス」。ホルス神の4人の息子ごとに受け持つ担当(胃、肝臓、肺、腸)が異なっているそう。■高さ35センチ〜38.5センチ
【タシェリトエンアメンという名の女性のミイラのカルトナージュ】
ミイラを包む際に用いられた、亜麻布やパピルスを固めたカルトナージュと呼ぶ覆いは、1枚ではなく分割されたものも。展示品は分割であるほか、表面には、死者の神性さを強調する金箔と細かい装飾が。■日本初公開
【パレメチュシグのミイラ・マスク】
今回の展覧会のポスター等にも使われている出土品がコチラ。守護神などを描いた豪華な装飾、部分的に金箔も。ぜひライブで見て欲しい目玉の1つです! ■高さ42センチ
【死者を描いたミイラの覆い布】
縦104センチ×横98センチの亜麻布に描かれた、ミイラをくるむための布。ミイラの姿をしたオシリス神像を中心に、背後に6人の神々が描かれたもの。
【タイレトカプという名の女性の人型棺】
蓋の全長213センチという巨大な木棺。再生とオシリス神を象徴する緑色に塗られた顔と(色褪せしているが)青のかつらが特徴で、写真は外棺。会場には内側部分の内棺の展示も。■日本初公開(外棺)
【棺形のシャブティ・ボックス】
冥界にちなんだ神々が描かれた木棺。死者と一緒に埋葬する小像(シャブティ)の箱。■高さ21センチ ■日本初公開
【ネスコンスパケレイドという女性のカルトナージュ棺】
顔を男性的に茶色くし、襟飾りの下に翼を広げ羊の頭をしたハヤブサが、さらに中段部にも別のハヤブサがと、様々な模様が描かれた、ミイラを保護するカルトナージュ。■長さ165センチ ■日本初公開
【人間の頭のついたハート・スカラベ】
取り除かれた心臓の代わりに置かれる、スカラベ(=フンコロガシ)形の置物。底面は心臓の形をしており、死者の書の銘文もが。■奥行き10.6センチ ■日本初公開
【山犬頭のアヌビス神小像】
冥界にある12の扉を開けるというアヌビス。青銅製の神像のなかで評価が高いとのこと。■高さ12.7センチ
【ハトホル女神の象徴のある柄鏡(えかがみ)】
牝牛の耳を持つ女性のハトホル神の顔を持つ、青銅製の鏡。
【ロータス花弁形ペンダントのネックレス】
青いファイアンスと呼ぶ、最古の人工的素材を使って再現した手工芸品。花の部分は鋳造という。■長さ56センチ
【4匹の子猫と横たわる猫の肖像】
母猫が子猫にミルクを与えているなか、1匹が母猫の鼻をつついてじゃれている。青銅製。■高さ3.9センチ
エピローグ【オシリスの預言】
原初の海ヌンから作られた世界は永遠でなくいずれなくなり、ヌンだけの状態に戻るとされるものの、再生神オシリスだけは生き残り、その力で再び世界は再生されると考えられているそう。
その象徴ともいえる展示がコチラ↓
【オシリス神の小像】
青銅製の小蔵は、弟セト神に殺害され妻であるイシス神にミイラ化された姿。■高さ39センチ ■日本初公開
・・・・・・と色々紹介しましたが、これはほんの一部。
会場にはまだまだワンサカあります!
豆知識
【再入場は!?】
再入場はNG。トイレは博物館内にありますが、展示室内にはありません。先にお済ませを。一部ケースのない展示も。大きな荷物を持たれている方などは、念のために館内にある有料ロッカーを使われたほうが無難です。
【エリア内は一通!? 】
大きく3つに分かれたエリアですが、行き来は自由。人が多い人気の展示品は後回しにして、後で戻って鑑賞できます♪
【ミュージアムショップは!?】
もちろんあります!
イベントオリジナル商品約150種含め、400品種以上取り扱い中とのこと。〇〇payを除く、クレジットカードた交通系カード、現金で支払い可能。
嬉しいのは、展示会入場有無に関わらず、だれでも買い物できること。後日買い足しなども可能です!
今回のレポートのまとめ
●見所満載。大小134点も!
●日本初公開品が多い!
●有料音声ガイドは2タイプあり
●オリジナル含めグッズ販売も充実
●常設展にも入れるお得チケットもあり
今回ご紹介した記事は
いかがでしたか?
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