
【和のあかり×百段階段2025】テーマは“鬼” ホテル雅叙園東京の恒例アートイベントが、今年も凄い件について!

日本独自の気品ある美しさを兼ね備えた、都内屈指の高級ホテル《ホテル雅叙園東京》。その館内にある、東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台とした、恒例の“和のあかり”アートイベントが今年も開催! ほかでは味わえない没入体験を、存分にお楽しみあれ♪《2025.9.23まで》
*掲載情報は2025年7月3日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。

イベント概要
『和のあかり×百段階段2025 ~百鬼繚乱~』
開催地ホテル雅叙園東京 文化財「百段階段」(東京都目黒区下目黒1-8-1)
開催期間2025年7月4日(金)~9月23日(火・祝)
開館時間11:00~18:00(最終入館/17:30) *8月16日(土)は17:00まで(最終入館/16:30)
入館料【一般】1800円、【大学・高校生】1200円、【小・中学生】1000円
休館日会期中無休
最寄り駅JRほか「目黒駅」西口より徒歩6分(編集部実測)
主催ホテル雅叙園東京
告知サイトhttps://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event/wanoakari2025
【和のあかり×百段階段2025】とは!?
目黒にある超高級ホテル《ホテル雅叙園東京》で開催のアートイベントです。

《ホテル雅叙園東京》は、前身となる「目黒雅叙園」から数え創業90年以上を誇るミュージアムホテル。創業者が自邸を改築し、純日本式料亭をオープンしたのが始まりなんだそう。
本格的な料理を舌だけでなく目でも愉しんでほしいと、壁画や天井画などで、館内各所を装飾するなど、現在までに2500点あまりの日本画や美術工芸品を所有&展示する唯一無二の存在です。

“東洋一の美術の殿堂”とも称されるそんな《ホテル雅叙園東京》内にあるのが、イベントの舞台となる東京都指定有形文化財「百段階段」です。

建造は1935年(昭和10年)。《ホテル雅叙園東京》内で現存する唯一の木造建築物で、斜面に沿って建てられた7つの部屋を、“99段”の階段廊下でつなぐという珍しい構造となっています。

厚さ約5㎝のケヤキ製となる階段。途中と頂上部に、趣向を凝らした計7つの部屋が展開されます。ここでの移動は階段のみ。エレベーターやエスカレーターはありません!
部屋はそれぞれにテーマ分けされており、当時の著名な画家たちが天井画や壁画を担当。日本の伝統的な美と昭和初期のモダニズム、木造ならではの風情がシンクロした空間は、ほかでは味わえない豪華さを誇ります。
《ホテル雅叙園東京》は、文化財「百段階段」を舞台としたイベントを、内容を適時変更しながら年に5〜6回開催しているのですが、今回リポートする《和のあかり》は数ある企画のなかでも指折りの人気を集めるキラーコンテンツ。
様々な分野で活躍されているアーティストや企業が、ときにダイナミックで繊細な、手法の異なる様々な作品を部屋ごとに展開するアート展となっています。
初開催は2015年。以後年に1回ペースで毎年行っており、コロナの影響でやむをえず開催中止となった年もありましたが、過去9回の累計来場者数はなんと58万人を超えているそう! 「来年はどんな感じ!?」と楽しみにされている方も多いようです。
なぜ99段!?
文化財「百段階段」は99段である理由は諸説あるそうで、縁起担ぎ説が有力。奇数は縁起がいい数字とされていることや、完全な(整った)状態は長く続かないという考えから、伸びしろを残してあえて99段にしたという説があるそう。
今年のテーマは「鬼」
《和のあかり》は、祭り、色彩、おとぎばなしなど、開催年ごとにテーマを決めて開催していますが、今回のテーマはずばり「鬼」。
目にすることができない恐怖の象徴として、奇怪で不可解な現象の根源として、正体の分からない未知なる存在としてと、さまざまな形で語り継がれてきた日本ならではの「鬼」文化を、アーティスト独自の解釈で作品にした“百鬼繚乱”な世界が展開されます。
参加アーティスト&企業は全38組。
ハイライト作品の1つである「青森ねぶた」作品を筆頭に、日本画や陶芸、伝統工芸、さらに現代アートなど、様々な分野で活躍されているアーティストや企業が参加されています。

例えば「漁樵の間」に鎮座する写真の「青森ねぶた」は、ねぶた師・北村春一さんの作品。左遷され失意のなかでなくなった菅原道真が、雷神となり怒りのいかずちを放つ様子をねぶたで再現。
実際のねぶたはすさまじく巨大なもので、展示作品はずっと小さいとのことですが、それもでザッと幅5m×高さ2mもあるそう! 搬入しやすい、3分割構造となっているそう。

作品そのものだけでなく、部屋の装飾にも注目あれ。天井、壁、そして柱と、部屋によりアレンジは異なりますが、厳粛な気持ちにさせる圧巻の「間」が連続します。
今回はアート作品展のリポートのため、詳細は割愛しますが、各部屋の素の状態については施設公式サイトでご確認あれ。360度ビューで各部屋を隅々まで見渡せます!
ちなみに、一部を除き、展示作品の多くが本展のために制作された初公開作品。1点ものが多く、一部は購入することも可能です(お渡しはイベント終了後)。
企画の打ち合わせは約1年前から始まり、数ヶ月かけて作品を制作したアーティストもざら。なかには半年以上もかけ本展に挑まれた参加者もいるそうです。

7つの部屋など、会場全域の至るところに「鬼」をモチーフとした個性豊かな「こけし」が展示されていますので、そちらもお見逃しなく。石巻の創作こけし作家、林 貴俊さんの作品です。
BGMもオリジナル
なんと各部屋に流れるBGMまでも、イベント開催にあわせ作曲したオリジナルなんです!
作曲を担当されたのは、テルミンを使った音楽家としても知られるヨダタケシさん。「物語の主人公となれるよう、空間に寄り添ったテーマを意識しつつ、内に秘める感情を曲で表現した」とのこと。怒りや悲しみ、孤独を表現した曲にも注目ください。

会場内は、一部除き、写真&動画ともに撮影OK! 浴衣を着ての来場も歓迎。浴衣の着付け、レストランの食事、展覧会の優待料金入場ができるパッケージ「浴衣プラン」の用意もあります。
余談ですが、文化財「百段階段」で開催するイベントは今回で通算99回目。階段数も先述の通り99段あります。
記念すべき100回目が目前ですが、じつは《ホテル雅叙園東京》は、建物所有者との定期建物賃貸借契約が満了となることから2025年10月1日から当面の間休館となることが決定しています。
そのため、100回目のイベント開催は現状未定。伸びしろを残しての99回目のイベントで一旦終了というのも、偶然とはいえ凄いことですよね!
どんな作品が!?
実際問題、どんな作品が楽しめるの!? ということで、ここから先はほんの一部となりますが展示作品を紹介します。
訪れる楽しみを残すため、展開順はあえてバラバラに。どのタイミングでどの作品に出会えるかは、実際に会場へ足を運び確認あれ。
酒呑童子、鬼の館

「星光の間」で展開されるのは、鬼の聖地とされる大江山に棲みつく「酒呑童子」の屋敷。荘厳であり、ある意味異様ともいえる雰囲気を演出するべく、複数のアーティストが参加しています。
例えば手前中央には、フラワーデザイナー米川慶子さんが手掛けた藍染めの花が、その左右には絵付け こあんさんによる、絵が描かれた和ろうそくが2本が屹立。
後列の中央、そして左右にあるのは、枯吹盆栽作家・髙井一平さんによる盆栽作品です。枯れてしまった盆栽を処分せず、独特な樹形を根まで活かしたアップサイクル品で、塗料を吸わせ葉に色を付けるという手法で着色したそう。
本来紅葉しない松が紅葉と、あり得ない設定が空間の妖艶さを強調させています。

同じ部屋には、メタルアート作家・MONORさんによる、鉄など、廃材を中心に作った刀が。源頼光が酒呑童子を成敗する際に使った「鬼切丸」がモチーフで、ピンクの管のようなものは刀が吸い取った鬼の血を模したもの。
異なる者こそ、鬼なり
「鬼」といえば、得体の知れない生き者、恐怖の対象でもありますが、それは自分たち「人間」と異なる者であることから生じる“違和感”ともいえるのでは!?

バーテンダーが羊、客である和装の女性が狐であったり……。「十畝の間」は、異なる者を集めた空間。二人が交わしている会話を想像してみるのも楽しそう。
制作したのは、動物などのかぶり物をイチから作る特殊造形師かものはしさん。被ることで“置物”から、存在する“生き物へと変える。そんな違和感を追究して作品を制作したとのこと。
それは恐怖の対象!? それとも愛嬌ある癒しの存在!? どう感じるかはあなた次第です!

同じ間に複数展示されている作品は、ステンドグラス工房かわもと製。デザインから製造までを一貫して行っている工房で、ご覧のような紫陽花もお手の物。葉は、同じ素材を使い熱で曲げて成形しているそう。海外製のガラスは品質が高く、100年たっても色が変わらないとのこと。
鬼の生活、その日常
「鬼」も生き物。生き物には「人間」同様日常があり、それは怖いものとは限らない……。「静水の間」では、お囃子風のBGMが流れる空間のなか、深夜に徘徊する「鬼」にとっての日常とは!? を問う作品が紹介。

こちらは、ワイヤーアート作家ごまんさんの作品。ワイヤー(金属線)を使った立体造形物を得意としており、刀を持った骨だけとなった鬼武者を出展しています。
ワイヤーは照明との相性がいいとのことで、斜め足元前から光を照射。背面の壁には、生き物の内面に潜む“負”の一面が映し出されるという、興味深い作品です。太さの異なる針金を、何本も使い分けているそう。

猫をモチーフとした陶器作品を多く発表している陶作家、白亜器さんは、飼い主が不在のとき、猫はなにをしている!? という疑問から作品作りを開始。不在のいまこそが天下といわんばかりにハメを外す姿に、普段の猫にはない別の素顔(=鬼)が見えてくる。その表情、背に浮き上がるドクロに注目あれ。
誘惑の、鬼の住処
「鬼」が生息する場所への入り口には、美しくも妖しい誘惑の世界が広がる……。「草丘の間」は、人間を惑わす神秘的な作品が集います。

編集部が選んだこの部屋のハイライトは、かんざし作家、榮-SAKAE-さんによる、青い曼珠沙華(彼岸花)。ワイヤーで作った輪郭内に合成樹脂を流し込み膨らませる、ディップアートの技法を応用して制作したかんざし。
榮-SAKAE-さんは、同イベントには複数回作品を出展されている人気作家です。

さらに注目はこちらの鳳凰。照明作家、ゲンマさんの作品です。
木や植物を使った小さな灯りにこだわった作品を手掛けており、ロウソクの炎のように見える光を凝視してみると、なんとそれはすべて「唐辛子」! 環境に優しい作品作りを行っています。

「鬼」といえば「鬼瓦」ということで、淡路瓦のメーカー「タツミ」が製造販売している、様々な種類の瓦を紹介。「鬼瓦」には、強い者(=鬼)を味方にし、家に災いが起こらないようにする魔除けの意味合いがあるそう。
去った先の桃源郷
「鬼」がいなくなった、希望と喜びが満ちる桃源郷の世界を、梅や桜など、気持ちを前向きにさせる様々なモチーフとともに紹介する「清方の間」では、全部屋で最多となる10組のアーティストが作品を展示中です。

そんななかでも一際目を引くのが、ビーズアーティストとして活躍されている金谷美帆さんの作品。
写真の「和衣装」は、なんと165万2000粒のビーズを使った、制作期間3年(!!)に及ぶ超大作。今回展示されたのは春夏秋冬と4タイプあるうちの「秋」。これまでの日本、そして世界で展示されて話題を集めた作品で、重量はなんと13㎏もあるそう!
能楽師、野村萬斎さんが舞台で実際に着用されたこともあるんだとか。
何事もない日常の現世
「鬼」が去り、平穏な日常が戻って来たなかで感じる幸せを、日が差す空間のなかで演出する「頂上の間」。

柳井金魚ちょうちん祭りで使われる、全国的にも有名な金魚ちょうちん。いつは「和のあかり」イベント唯一の皆勤賞。過去9回すべて展示されている、お馴染みの存在です。
そこにあるのは120匹に及ぶ山口県柳井の「金魚ちょうちん」であり、空間を優雅に泳ぐ、紙のインテリアモビール「紙にしきごい(99匹)」たち。

大小色とりどりの「紙にしきごい」は、新潟県にある印刷を得意とする会社「DI Palette」の製品。縁側まわりの大型作品など、一部参考出品が含まれるものの、1980円〜購入可能。展開方法は簡単で、付属するヒモを引くだけで錦鯉の形になる優れもの。
喧騒のない、スローな空気感が漂うなかで幸せを感じあれ。
そのほかにもこんな見所が
7つの部屋以外にも作品展示は多数あり。そちらもお見逃しなく!

こちらは切り絵絵本作家さぶさちえさんの作品「迷い森」。狐をモチーフとした作品を手掛けているそうで、今回は“森に迷い込んだ”というシチュエーションで制作した、幻想的な作品が展示中です!

14面体の立方体に、人間が棲む現世や人間がいない世界をドラマ仕立てに盛り込んだ、「希莉光あかり」と呼ぶ照明作品を展示するのは、和あかりを得意とするクリエイター集団、倉敷光作所。
切子の造形美を残しつつも、灯籠ともまた違う世界観を創造。写真中央の作品では、ホタルが定期的に明滅。写真左隅にある蝶は、2分に1回羽ばたきます!

1.2㎜の極細の竹ひご3000本を使って再現した照明作品。伝統工芸と、虫かご作りの技法を融合させ再現したもので、「影を知ることで、光の存在を知る」と照明作家谷 俊幸さん。約3ヶ月かけて制作されたそう。
物販も充実♪
イベントに出品されている作品の一部は実際に購入することも可能ですが、一部除きどれも1点もののため、正直かなり高額……。

併設されているショップでは出展アーティストにちなんだ、手軽に購入できる関連商品等も多数取り扱っていますので、そちらもぜひ覗いてみてください。
ちなみにショップは、展覧会入場者に限らず、物販のみの利用も可能とのこと。詳細はスタッフにお尋ねあれ。
レポートまとめ♪

・《ホテル雅叙園東京》内にある文化財建築で開催のアート展
・38組のアーティストや企業が作品を展示、一部購入可能
・テーマは「鬼」。館内一部除き撮影可能!
いかがでしょう!? 今回紹介した作品は展示品の1/3にも満たないもの。実際にはさらに多くの作品が展示されていますので乞うご期待。人気イベントだけにすでに混雑している模様ですが、会期は9月23日までと比較的長く開催中です。《ホテル雅叙園東京》でのイベントは、今回の「和のあかり」で一時休止とのことですので迷わずどうぞ! 一般的なアート展とはかなり違います!
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