2025.03.19

特集記事

文・写真: 山さん
2025.03.04

【ミロ展】 初期から晩年までを網羅する、約60年ぶりの大回顧展が東京都美術館で!!

ミロ展 東京都美術館 会場風景

スペインが生んだ巨匠、ジュアン・ミロの創作活動を幅広く展観する大回顧展が、上野の東京都美術館で始まりました! 展示数は100点あまり。今回並の展覧会はなんと60年ぶり! 行かなくちゃ!《2025.7.6まで》

*掲載情報は2025年2月28日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。

*掲載写真はすべて展示風景であり、許可を得たうえで編集部が撮影しています。

イベント概要

『ミロ展』

一部撮影OK(写真)
音声ガイドあり
グッズ販売あり

開催地東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園7-20)
開催期間2025年3月1日(土)〜7月6日(日)
開館時間9:30~17:30、金曜日は20:00まで *入館は閉館30分前まで
入館料【一般・大学生】2100円、【小中高校生】600円
休館日月曜日、5月7日 *4月28日、5月5日は開館
最寄り駅JR「上野駅」公園口より徒歩7分
主催東京都美術館、ジュアン・ミロ財団、朝日新聞社、テレビ朝日
特設サイトhttps://miro2025.exhibit.jp

【ミロ展】とは!?

ミロ展 東京都美術館 会場風景

20世紀を代表する、美術界の巨匠といえば……!? という質問があったとしたら、多くの方が名を挙げるのでは!? と思われるピカソ(1181-1973)。実際の作品は見たことがないとしても、名前は知っているという方はかなり多い、名実ともに世界を代表する不世出のアーティストですよね。

そんなピカソと並ぶ巨匠であり同郷者であり、共通点も多い、スペインが生んだもう1人の巨匠がジュアン・ミロ(1893-1983)です。

ピカソとも交流があり、その才能にピカソも一目置いていたとされるミロの作品は、没後40年以上がすぎたいまなお多くの美術ファンを魅了。

90歳でなくなるまで、約70年という長きに渡る芸術活動を展開。様々な形で作品を残すなど、旺盛な創作で知られ、日本にもファンは多数。美術ファンならずもとも、その名は知っておきたい世界的知名度を誇るアーティストです!

*余談ですが、ピカソとミロの実家はなんと500mしか離れておらず、母親同士が友人だったそう!

今回のイベントはそんなミロの芸術活動を、幅広く見つめ直すに最適な回顧展。活動初期から晩年まで幅広く作品を網羅した大規模展。全5章で展開されます。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

会場は地下から2Fまで複数階で展開。同じフロア内は行き来可能ですが、フロアを変えると戻ることができません。ご注意を。

ミロの作品はこれまでにも紹介自体はあったそうですが、今回規模での展覧会は、なんと1966年(昭和41年)以来とのこと! じつに60年ぶり。前回はミロ自身が、東京*と京都で行う展覧会のために来日**しています。

* 東京:東京国立近代美術館(1966.8.26-10.9)、京都:京都国立近代美術館(1966.10.20-11.30)

** 1966年9月21日(2度めの来日は1969年)

ミロは、絵巻に関心があるなど、日本の伝統や芸術に以前から関心が強かったそう。来日時は、日本の風土、人の温かさに触れ、かなり刺激を受けた的なコメントを残しています。

余談ですが、日本でミロ作品が展示紹介されたのは1932年(昭和7年)開催の「巴里・東京新興美術展覧会」とのこと。

展示数は約100点!

今回の展覧会は、スペイン・バルセロナにある、創立50周年を迎えた「ジュアン・ミロ財団」の全面協力で実現したもので、展示総数は100点あまり(!)。過去最大規模!

100点中56点となるミロ財団所蔵品に加え、NY近代美術館、国立ピカソ美術館など世界中の美術館、個人所蔵品を集めた展覧会となっており、日本からは、東京国立近代美術館、箱根のポーラ美術館、岡山の大原美術館、静岡県立美術館などが協力と、もしかしたら見たことがあるという作品もあるかもしれません。

展示作品は「幅広い期間」だけがポイントではなく、絵画や陶器、彫刻、ポスターなど「多彩なジャンル」や、創作当時のミロの心情が判るような、様々な試みが見られる「多彩な技法」も見所と、ミロ芸術を幅広く、深く知ることができる充実の内容となっています。

ミロは70年という長い創作活動で作風をいろいろと変化させたアーティスト。同じ時期で作風が異なる作品もあるんだそう。展覧会に出展されている作品もメリハリに富んでいます。つまり、飽きません!

*【注意】主催者に確認したところ、写真撮影は2Fフロアの一部作品のみ可能とのこと。地下1Fや1Fは全面禁止です(動画撮影は全フロアでNG)。ご注意ください。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《モンロッチの風景》1914年 油彩/カンヴァス

それは例えば絵画。紹介する《モンロッチの風景》は、ミロ家の別荘「マス・ミロ」があったモンロッチという村の風景をとらえたもの。ポスト印象派などの影響が色濃い、初期の作品。後年の作品とは雰囲気が大きく違います。

ミロはモンロッチが終生お気に入りで、夏のバカンスは毎年同地で過ごしていたそう。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年 油彩/カンヴァス

シュルレアリスムの影響が強く見られる《絵画(カタツムリ、女、花、星)》。ミロは作品内に「詩」的要素(言葉の導入)を加えた作品も多くのこしており、この作品にも詩的な言葉が。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《壺》1946年 せっ器

会場には陶芸作品も。制作を始めたのは1944年〜。友人の陶芸作家アルティガスとの共同制作という形で作品を複数発表しています。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《バルサ FCバルセロナ75周年》1974年 リトグラフ

1940年代から本格的に取り組みはじめたリトグラフも複数展示。会場には、世界的に有名なサッカークラブ、FCバルセロナの75周年記念として制作されたポスターなども。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

章と章をつなぐエリアではミロの経歴やミロ財団の紹介などを行うパネル展示も。

ミロ展 東京都美術館 音声ガイド

見るだけでは判らない貴重な小ネタを拾える、音声ガイドもあり! ナビゲーターは岩田剛典さん。レンタル版は650円、アプリ版は700円。

傑作《星座シリーズ》3点集結!

今回のイベントの目玉の1つが、1940年〜41年にかけて制作された《星座シリーズ》と呼ばれる、ミロの代表作が展示されていること。

戦争により居場所を点々と変えざるを得なかった時期に、現実から逃避するように詩や音楽からインスパイアされた作品を「夜」からヒントを得て制作。

点と点を結んでできる星座のような構成で、女性や鳥、星など、その後の作品も多様されるモチーフが登場することでも知られているそう。

ミロ展 東京都美術館 会場風景 星座シリーズ

《カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち》1940年 水彩、グワッシュ/厚い水彩用網目紙

グワッシュと呼ばれる不透明の水彩絵の具で描かれており、キャンバスサイズは約36×46㎝と、小脇に抱えられるほどの大きさ。

ミロ展 東京都美術館 会場風景 星座シリーズ

《明けの明星》1940年 グワッシュ、油彩、パステル/厚い水彩用網目紙

シリーズは全23作品で構成されていますが、作品は世界中に点在しており、複数の作品が同時に展示されることは極めて稀。今回はうち3点も同時公開となります!

ミロ展 東京都美術館 会場風景 星座シリーズ

《女と鳥》1940年 グワッシュ、油彩/紙

ほかにも注目作品多数!

ここから先は各章に展示されている作品をザッと紹介! 

【第1章】若きミロ

父親のすすめで会計士となるものの芸術へ関心は捨てきれず、美術の勉強を再開。本格的に創作活動を始める、初期の時代を紹介。紹介の《自画像》は、交流があったピカソが一時保管していたものとのこと!

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《自画像》1919年 油彩/カンヴァス

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《赤い扇》1916年 油彩/厚紙

【第2章】モンリッチ – パリ

訪れたパロの近代性や前衛性に刺激を受けたミロは、1921年にパリにアトリエを構えます。シュルレアリスムの抽象画を手掛け、1925年-27年にかけて「夢の絵画」と呼ぶ作品100点あまりを制作。作品の中に文字(詩)を加え表現する作品も複数発表。

同時に「絵画を暗殺したい」と語るなど、作品の評価事前に、単純に作家の人気で作品が支持される業界の流れに反発。伝統的な絵画のあり方ではない、反絵画路線へと舵を切ります。

ミロ展 東京都美術館 会場風景 

《絵画》1925年 油彩/カンヴァス

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《絵画(星)》1927年 油彩/カンヴァス

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《オランダの室内Ⅰ》1928年 油彩/カンヴァス

【第3章】逃避と詩情

1936年のスペイン内戦、1939年の第二次世界大戦の混乱からの「完全なる逃避」を選択したミロ。戦渦を逃れながら欧州を転々としながら作品を創出。先述の《星座シリーズ》もこの時代に誕生。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《無題(夜の恋人たち)》1934年 インク、グワッシュ、パステル、アルミ箔のコラージュ/紙

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《男の頭脳》1935年 リポリン、油彩/厚紙

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《夜の女》1945年 油彩/カンヴァス

【第4章】夢のアトリエ

1940年代以降、アメリカでも人気を集め、評価を高めたミロ。この時期創作活動の幅を広げており、版画やエッチング、リとグラフ、陶芸、彫刻にも挑戦しています。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《女の胴体》1967年 ブロンズ

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《絵画(エミリア・フェルナンデス・ミロのために)》1963年 油彩、アクリル/カンヴァス

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《逃避する少女》1967年 着色ブロンズ

【第5章】絵画の本質へ向かって

1970年代からの晩年をフォーカス。アメリカ人アーティストの影響もあり、大きなサイズの作品も精力的に手掛けたミロ。

バケツに入った塗料をぶちまけ、絵の具を塗ったボールを投げ、ときにホウキを使って作品を仕上げ、さらにナイフで作品切り裂いたり燃やしたりと、「破壊」を取り入れるなど、晩年に差し掛かっても旺盛な創作意欲は衰えず。

とくに切り裂いたり燃やした作品は、普段目にする事のないカンヴァスの裏面にも覗けます。必見!

ミロ財団によると、塗料をぶちまけた「花火」は日本初公開とのことです。

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《焼かれたカンヴァス2》1973年 アクリル/切られて焼かれたカンヴァス

ミロ展 東京都美術館 会場風景

《花火Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ》1974年 アクリル/カンヴァス

グッズ多数! ショップも

ミロ展 東京都美術館 会場風景 グッズ販売

第5章の先には、お待ちかねのグッズ販売エリアも。3種類の装幀を選べる公式図録は3600円。

ミロ展 東京都美術館 会場風景 グッズ販売

そのほかにもアパレル系からマグネット、ピンズ、文具、雑貨など、いろいろなイベント限定グッズが販売中です。現金、各種カード、交通系など、一通りの支払いが可能です。

なお、限定グッズが手に入る物販エリアは、イベント入館者しか利用できません。

会場となる「東京都美術館」自体の(入場無料エリアにある)ショップコーナーでもミロ関連グッズは取り扱いがありますが、そのお店と会場内ショップで取り扱いのグッズは異なるとのことです。

レポートまとめ♪

ミロ展 東京都美術館

・ミロ作品が100点あまり上野の集結
・初期から晩年まで網羅の大回顧展!
・傑作《星座》シリーズ3点同時公開

いかがでしょう!? ピカソと並ぶスペインの巨匠として知られるミロ。美術ファンはもちろんですが、たまにはちょっとアートでも……なんて、ビギナーにも最適な、美術入門にも最適なアーティストです。初期から晩年までの作品をまとめて楽しめる機会は、なかなかありません!

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