2024.11.21

特集記事

文・写真: 山さん
2023.12.27

石川酒造で土蔵散歩♪ 見て、食べて、飲み、買い、そして泊まる! 福生の“酒飲みのテーマパーク”へ行こう!

石川酒造 多満自慢 入り口

東京・多摩エリアの気になるお店やスポットを集中紹介する連載企画第3弾は、日本酒だけでなく、クラフトビール製造でも知られる老舗酒造『石川酒造』をご紹介! 敷地内に文化財があり、飲食店あり、ショップあり、史料館ありと、観光スポットとしてもオススメです!

*掲載内容は2023年12月上旬時点の情報で、内容を保証するものではありません。

*掲載写真はすべて編集部による。

スポット概要

『石川酒造の土蔵散歩』

散策無料
飲食店あり
売店あり
駐車場あり

所在地東京都福生市熊川1
施設全体の定休日基本無休(年末年始等一部除く) *売店等、個別の定休日はあり
施設全体の開放時間9:00~21:00 *売店等、個別の営業時間あり
駐車場30台分あり
最寄り駅JR青梅線「拝島駅」南口より徒歩20分
公式サイトhttps://www.tamajiman.co.jp

【石川酒造の土蔵散歩】とは!?

1863年(文久3年)創業の老舗酒造であり、豊かな水に育まれた銘酒「多満自慢た ま じまん」で広く知られる『石川酒造』は、目の先に奥多摩の山々が広がる、都心の喧騒を忘れさせる自然豊かなエリアにあります。

石川酒造 多満自慢 外観

『石川酒造』の正門。「多満自慢たま じまん」と記された看板は、日本を代表する書道家兼芸術家である塩野谷博山しおのや はくざんさんによるもの。故17代会長と旧知の間柄とのことで、敷地内には、作品が要所に使われています。

土壁の表面に漆喰などを塗って仕上げる、日本の伝統建築「土蔵どぞう」造りの建物が並ぶ敷地(約3000坪)には、国の有名文化財がなんと6棟も存在と、歴史ある由緒正しきスポットなんです。

石川酒造 多満自慢 内観

土蔵に囲まれた敷地内。歴史の重みやニッポンの伝統をヒシヒシと感じさせる、独特な空気感は、都心では味わえません!

『石川酒造』は日本酒だけでなく、クラフトビールの製造販売でも広く知られた存在で、日本酒、ビールともに、敷地内に醸造所を完備。酒造見学プランも用意されています。現在見学は、毎月実施する「感謝デー」に限定して行っているとのこと。募集をかける際はすべて公式サイトで告知するとのことですので、ぜひコマメに覗いてみてください。

お得な「感謝デー」

毎月第4土曜と翌日の日曜に行われている「感謝デー」は、基本毎月開催。毎回色々なお得コンテンツを実施中。例えば直近で開催された2023年12月22日からの「感謝デー」では、「蔵見学」のほか、「酒粕詰め放題」「酒造マルシェ」「たる酒/ビールの量り売り」など、いろいろ実施。入場は無料。最新開催情報は公式サイトで確認あれ。

・・・と言ってしまうと「行くのは感謝デーのときでいいかな!?」と考える方もいるかしれませんが、それはもったいない。

もちろん見学会とあわせて行くことにこしたことはありませんが、敷地内には醸造所のほかにも見所いろいろ。優雅な気分で自慢のお酒とともに食事ができる、和食とイタリアンの「飲食店」が2店舗営業しているほか、『石川酒造』を創業時の江戸時代から振り返る「史料館」、樹齢ウン百年を超えるパワースポットともなっている巨大な「ケヤキ」など、楽しめるポイントがコンパクトなエリア内にギュッと詰まっているんです。

驚きべきことに、なんと宿泊施設まであるんですヨ!

石川酒造 多満自慢 敷地内

敷地内はコンパクトで、端から端まで徒歩1分程度。植栽の手入れも行き届いており、春には八重桜が花を咲かせます。

そもそもウレシイのが、敷地への出入り自体が「無料・自由」であること。飲食店や物販の利用等はもちろん有料ですが、それ以外の文化財となっている建物やケヤキなどは無料で鑑賞・観賞可能。史料館も無料なんですヨ!

今回は、歴史の重みが肌で感じられ、美味しい食事も楽しめ、ショップでお土産を購入できる『石川酒造』の土蔵散歩をご紹介。酒造みずから“酒飲みのテーマパーク”と称す、自慢のスポットを覗いていきましょう〜。

イメージムービー公開中!

土蔵散歩で楽しめること!

今回は取材時間の関係でざっくりとした紹介となりますが、施設の見所や雰囲気は感じてもらえるはず。さらなる詳しい情報等は、公式サイトや公式YouTube、そして現地で確認くださいませ。

石川酒造 多満自慢 大樽オブジェ

『石川酒造』は駐車場も完備。正門前にある駐車場脇には、ご覧のアイコニックな存在の大樽がどーんと!! みなさんの来場を歓迎してくれます♪

本蔵ほんぐら

石川酒造 多満自慢 本蔵

杉玉も見える威風堂々とした「本蔵」。手前の石畳には、ブランドロゴともいえる、縁起のいい「角樽」が。

多満自慢た ま じまん」と書かれた看板おごるメインゲートをくぐった真正面にあるのが、日本酒を醸造する工房となる「本蔵」。見上げるほどの見事な土蔵は、幅23m×高さ13m×奥行き31mもある立派なもの。建造は1880年(明治13年)と、140年以上の歴史を誇る建物で、全6棟ある国の有形文化財の1つです。

見学会では実際に内部に入り、酒造りの現場を見学可能ですが、現在行っている見学は先にお伝えした「感謝デー」のみ。毎月第4土曜と翌日曜のみ実施しており、告知や参加予約はすべて公式サイト上で行われています(参加有料)。

石川酒造 多満自慢 蔵内部

今回は特別に、チラッとだけ覗かせていただきましたが、仕込み用・貯蔵用など、様々なタンクがズラリ。

石川酒造 多満自慢 蔵内部 看板

歴史と風情のある『石川酒造』はロケ地に最適として、過去にドラマ等の撮影も複数回行われています。本蔵内には、道枝駿佑さん主演「金田一少年の事件簿(白蛇酒造殺人事件)」の撮影で使われた小道具も。シレッと置いてあるのですが、見学者が気が付くと大いに喜ばれるそう!

熊川分水

石川酒造 多満自慢 玉川
石川酒造 多満自慢 玉川上水

1886年(明治19年)に着手し、以後3年3ヶ月の歳月を費やして、玉川上水から生活用・産業用として引いた分水。ザリガニやハゼがいたりするそう。

夫婦ケヤキ&仕込み水

石川酒造 多満自慢 仕込み水

グーンと天に伸びる2本のケヤキは、樹齢400年もの。根元には、お酒造りに要である米と水を崇めるべく、五穀豊穣・商売繁盛、そしてお米の神である「大黒天様」と、学芸開運・福の神である川の精霊「弁財天」を祀るほこらを設置。同地では、昔から大黒天様と弁財天様を夫婦として祀る風習があるそう。

その手前には醸造に使う仕込み水が、地下150mから絶え間なく流れ出ています。ミネラルが豊富に含まれた中硬水。手で受け止め飲んでOKとのこと♪

雑蔵ぞうぐら(食道 いし川&史料館)

石川酒造 多満自慢 レストラン

「雑蔵」は1Fが、鮮魚を中心としてメニューを楽しめる海鮮和食のお食事処「食道 いし川」、2Fが『石川酒造』の歴史等を様々な角度から紹介した、貴重な史料も満載の「史料館」で構成。国の有形文化財に登録されている建物は、1898年(明治31年)に建てられたもの。

今回訪れたのが、定休日の水曜日だったため内部を拝見することは叶いませんでしたが、江戸・明治・昭和の酒造りやビール造りなども判る「史料館」は、無料で鑑賞可能ですヨ!

石川酒造 多満自慢 レストランメニュー

【食道 いし川】
・営業時間/平日:11:30~15:00(LO14:30)、17:00~22:00(LO21:30)、土日祝:11:30~22:00(LO21:00)
・定休日/水曜
・紹介サイト/https://www.tamajiman.co.jp/shokudo/

石川酒造 多満自慢 資料館

【雑蔵史料館】
・営業時間/11:30~20:00
・入館料/無料
・定休日/水曜
・紹介サイト/https://www.tamajiman.co.jp/about/

向蔵むこうぐらビール工房

石川酒造 多満自慢 ビール工場

敷地西側にはビールを醸造する工房が。建物自体は1896年(明治29年)建築の土蔵(もちろんコチラも有形文化財)ですが、現在のクラフトビール造りが始まったのは、じつは最近。1998年(平成10年)なんです。

ビール醸造自体は1887年(明治20年)に着手するも、様々な問題によりわずか3年で撤退した過去があるんです。当時は『石川酒造』に限らず、日本全国でビール醸造が盛んとなっていた時期なんだそう。2回目の挑戦となる1998年は、初着手から数えてちょうど111年後でもありました。

ちなみにこちらのビール工房も見学が可能ですが、開催は現在先の「感謝デー」のみとのこと。

麦酒釜ビールがまの館

石川酒造 多満自慢 ビール鍋

14代当主の時代、1887年(明治20年)から約3年間だけで製造された、第一期のビール醸造。撤退する際に醸造に使う器具等を売却したのですが、麦汁をとるスチール製の大型煮沸釜だけが売れ残ってしまい、その大きさから保管に苦労されたのか、長く土に埋められていたそう。そのため、第二次大戦時に発令された「金属類回収令(軍需生産の原料となる金属類の供出義務)」からも免れ、ほぼ当時のまま残っていたそう!

石川酒造 多満自慢 ビール鍋

釜は横幅ザッと2m以上派ありそうな巨大なもので、高さもあるため、内部を覗くのは至難の業ですが、手を伸ばして写真をパチリ。

現在当時を偲ばせる貴重な史料として、常設展示されています。

石川酒造 多満自慢 レリーフ

館の梁内側にあるレリーフやその看板も、塩野谷博山しおのや はくざんさんによるもの。

石川酒造 多満自慢 井戸

館の奥にある井戸は、昭和30年代まで、酒造りの仕込み水として実際に使っていたもの。現在は来場者の憩いの場になっています。井戸や館の脇には、パワースポットともなっているケヤキの御神木も♪ 樹齢は700年超え!

長屋門ながやもん

石川酒造 多満自慢 杉玉

「長屋門」は、『石川酒造』の18代めとなる現当主の邸宅の表門。酒造の目印である杉玉が目印です。正確な建築時期は判っていないそうですが、建築の記録となる「棟札むなふだ」によれば1775年(安永4年)以前。江戸時代末期の建築とのことで、もちろんコチラも国の有形文化財に指定されています。

石川酒造 多満自慢 スバル360

長門に鎮座する赤いクルマは、懐かしのスバル360! てんとう虫の愛称で支持された名車です! 現当主の愛車で、ナンバーもとっておりしっかり動くんです。同社の過去のブログによると、”カンペキにレストア済み”とのことで、正式車名は“レイディー・バグ”と呼ばれた「スバル360 ヤングS」とのこと。

*公式YouTubeでは走行動画なども楽しめますヨ〜。

イタリアンレストラン、ビール小屋も!

石川酒造 多満自慢 ビール小屋

『福生のビール小屋』と呼ばれるレストランもあります! 開放的な空間のなかで食事ができるオープンテラスもあり、平日でも多くの方で賑わう人気のレストランなんです♪

オープンは『石川酒造』のビール醸造復活と同時。つまり1998年です! “できたてを味わえる”レストランとしてオープンしました。

石川酒造 多満自慢 ビール小屋

心地いいテラス席はペット連れもOK! シニアのほか、インバウンド人気も高いんです♪ ちなみに座席は店内50席、テラス最大40席。

ジャンルはイタリアン。窯焼きピザや各種パスタ、地元産のソーセージや生ハム系、そしてサラダなど、できたての日本酒やクラフトビールとあうこだわりグルメがいろいろ楽しめます♪

【福生のビール小屋】
・営業時間/11:30~21:30(LO20:30)
・定休日/月曜・火曜
・紹介サイト/https://www.tamajiman.co.jp/koya/

ちなみにソーセージやハムは同じ福生にある「大多摩ハム」製を使用。「大多摩ハム」と『石川酒造』は2020年企業提携している間柄なんです。

石川酒造 多満自慢 ビール小屋 メニュー

自慢のピザは、生地の発酵から自ら行っているこだわりの逸品。その日のオススメは、ご覧の看板でチェックしてください!

メニューはグランドメニューやコースメニューまで、いろいろ。詳しくは公式サイトでご確認あれ。https://www.tamajiman.co.jp/koya/menu.php

今回、実際にビール小屋でいただいたのは・・・。

石川酒造 多満自慢 ビール小屋

お酒は蔵元限定酒「かめぐち」。酵母や酵素が生きている、文字通り“搾りたて”の純米無濾過生原酒。抵抗なくスッ〜入っていく感じでとても飲みやすい印象。普段あまり日本酒を飲まない方にもオススメです♪

ちなみに「かめぐち」は、レストランでしか飲めない限定酒。提供はグラスのため、ラベルは製作していないそう。特別に一緒に撮影させていただいた一升瓶が、素の状態なのはそのためです。ちなみに限定酒は季節により提供されるお酒が変更となりますので、迷ったら飲んでおいたほうがいいですよ〜。2合/1600円もあり。

石川酒造 多満自慢 ビール小屋 パスタ

酒粕の風味香る「小エビの酒粕ジェノベーゼ」。酒粕感がどの程度なのか気になりましたが、ごくわずかなもの。小エビのプリプリ感、ソースと麺の絡み具合も絶妙と、食がススむススむ♪ 酒粕が苦手という方でも難なく行けるはず。男性にはやや量が少ないかもな印象も受けましたが、女性にはちょうどいいのでは!? ぜひご賞味あれ。

石川酒造 多満自慢 ビール小屋 アイス

さらにいただいたのが「酒粕アイスクリーム」。見た目はバニラアイスのようですが、いざ口のなかに入れると、先ほどとは一変。コチラはしっかり酒粕感を感じる独特な味わい。クドクドとした甘さもなしと後味良好。美味です!

石川酒造 多満自慢 ビール小屋

店内では日本酒やクラフトビールなど、『石川酒造』のオリジナル商品も多数取り扱い中です。

ちなみに無料で提供されるお水は、地下150mから汲み上げている天然水です!

直売店「酒世羅さけせら」も!

石川酒造 多満自慢 ショップ

建物は移築したものとのことですが、

ここ目当てに訪れる方も多いという、直売店「酒世羅」。世羅はCellar(セラー=貯蔵室)から。『石川酒造』で生産している日本酒やクラフトビール、塩麹、おつまみなどのほか、酒粕を使った入浴剤、石けんなど、いろいろ。シーズナブルな商品もあるため、訪れる度に新しい出会いがありそうです!

石川酒造 多満自慢 多摩の恵

柑橘系の香りが特徴の「ペールエール」を中心に、小麦麦芽を使用する「ヴァイツェン」や果汁を使った「ブルーベリーエール」、定番「ピルスナー」など、豊富な種類から選べるクラフトビール。お土産にもぜひ!

店内では、1998年(平成10年)から醸造を始めた「ペールエール」や「ピルスナー」などの各種『多摩の恵』シリーズのほか、2015年(平成27年)に発売した『TOKYO BLUES(東京ブルース)』といったクラフトビールを販売中!

石川酒造 多満自慢 多摩の恵

『多摩の恵 明治復刻地ビール』770円

1887年(明治20年)に始めたビール醸造時に「日本麦酒」(ラベルはJAPAN BEER)の名で販売したラガービールが、100年以上の時をへて『多摩の恵 明治復刻地ビール』として復刻。柑橘系の優しい香りもポイントなんだとか。レトロなラベルもしっかり復刻されています!

石川酒造 多満自慢 手提げ袋

グッズ類の販売もあり、ビールを入れるためのビン袋なども。

ちなみに試飲サービスは、感染防止対策の一環として行っていません。

石川酒造 多満自慢 ショップ

【酒世羅】
・営業時間/10:00~18:00
・定休日/火曜(12月除く)
・紹介サイト/https://www.tamajiman.co.jp/sakesera/

泊まれるんです!

石川酒造 多満自慢 看板

敷地内にはなんと宿泊できるゲストハウスがあるんです! その名も『酒坊 多満自慢しゅぼう たまじまん』。オープンは2021年7月。

カプセルベッドルームと和室の個室からなる宿泊施設で、宿泊中はゆったり体を癒しつつ、お酒や料理を楽しめるほか、醸造場見学付きプランなどもあるそう。利用者だけが参加できるイベントやワークショップなどもありと、ここでしか体験できない内容に。気になる方はいますぐ公式サイトをチェックしてくださいませ♪

*宿泊施設の入り口は、今回の本編である『石川酒造』とは別となります。

公式YouTubeで館内等の様子が確認できます♪

https://www.youtube.com/channel/UCOBATeE7oq6rgs1A8ltXeTw

【酒坊 多摩自慢】
・公式サイト/https://www.shubou-tamajiman.jp

レポートまとめ♪

石川酒造 多満自慢

・見て知って飲んで食べて買える、お酒のテーマパーク的スポット!
・日本酒だけでなく、ビールもグルメも楽しめます♪
・毎月開催の「感謝デー」は必見!

いかがでしょう!? お酒、ビール好きな方はもちろんですが、都心では得がたい歴史の重みを感じる場であり、なかなか知る機会のない工房見学ができたり、美味しいレストランもあったりと、“飲めなくても楽しめる”場所ですヨ〜。あ、ちなみに敷地内に昭和レトロな郵便ポストがありますが、これはいただきもの。郵便の集荷はありません。ご注意を〜。

もっと知りたい! 方は公式YouTube!

公式YouTubeでは『石川酒造』にまつわるいろいろな情報を発信中! 見入ってしまう動画も多数。1度覗いて見てくださいませ。

https://www.youtube.com/@ishikawabrewery123

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この記事を書いた人

山さん

娘と一緒にハイキングや登山を楽しむ日を待ち望む、ただの編集者。

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