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ロートレック展、開幕! 素描や挿絵、ポスターなど、240点あまりが新宿に! 《2024.9.23まで》
日本でもファンの多いフランスの画家、ロートレックの展覧会が開幕! 展示数は紙作品240点あまり。個人コレクションとして世界最大級の規模を誇る、フィロス・コレクションの協力で実現した注目展です。夏休みの美術鑑賞にぜひ!
*掲載内容は2024年6月21日開催の内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
イベント概要
『フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線』
開催地SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1)
開館時間10:00~18:00 *金曜は20:00まで/入館は閉館30前まで
入館料【一般】事前/1600円、当日/1800円、【大学生】事前/1000円、当日/1200円 *高校生以下無料
休館日月曜日 *7/15、8/12、9/16、9/23は開館
最寄り駅JRほか「新宿駅」西口から徒歩5分
告知サイトhttps://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/lautrec/
【フィロス・コレクション ロートレック展】とは!?
19世紀末フランスを代表する画家であり、印象に残る独特な作品のタッチから、美術にそれほど詳しくない方にもファンが多いアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)をフォーカスした展覧会です。
ロートレックは36年という短い生涯の間に数多くの作品を残し、時代を作った画家。伯爵家の息子として生まれ、幼いころから絵に親しみ、20歳でパリにアトリエを構え、モンマルトルに生きる芸人や歌手などを題材に作品を創出と、早世の画家でありました。
大胆なポスターや挿絵といった分野でも遺憾なく才能を発揮。独特な線描写や色使い、そして構図といった作品全体から醸し出されるならではの世界観に魅了され、刺激を受けたイラストレーターやデザイナーといったクリエイターさんもきっと多いはず。
今回開催される展示会は、ロートレックが遺した紙作品を集中的にコレクションしている、著名コレクターであるベリンダとポールのフィロス夫妻が、わずか20年たらずで蒐集した350点を超える膨大なコレクションのなかから、240点あまりを厳選して紹介するもの。
展覧会開催にあわせ来日されたフィロスご夫妻。集めたコレクションを、ほかの方と共有できることが喜びとおしゃっておりました。
フィロス・コレクションは紙作品のコレクションとしては世界最大級とされており、所有されている作品はどれもコンディションがいいものばかり。これまで本国アメリカや中国などで展覧会を開催してきましたが、ついに我が日本でも開催されることになりました。
今回紹介する東京・新宿の《SOMPO美術館》を皮切りに、北海道・札幌の《札幌芸術の森美術館/2024年10月12日〜2025年1月5日》、長野・松本の《松本市美術館/2025年1月18日〜4月6日》で開催される巡回展となっています。
ちなみにフィロス・コレクションは、本国アメリカにも常設展示施設はなく、今回のような期間限定展覧会のときでしか作品がお目にかかれないとのこと。正確なことはわからないとのことですが、展示作品の多くが、恐らく日本初公開では!? とのことです。
会場となるSOMPO美術館は、1976年に安田火災海上本社ビル(現損保ジャパン本社ビル)の42Fに日本初の高層美術館として誕生し、2020年に現在の独自の建物(写真右)で運営。損保ジャパン本社ビルの真横(矢印)にあり、新宿駅からもスグ! 同館でロートレック展が開催されるのは、今回が初とのこと。
会場は全5章で展開
ロートレックといえば、大胆な構図と色使いのポスターを真っ先に思い浮かべる方も多いかと思いますが、会場にはもちろんポスター類ももちろんあります! 数多く。
ですが、そのほかにも書籍や雑誌、歌曲集といった出版物へ提供した作品や、ムーラン・ルージュに代表されるダンスホールやカフェ、酒場で働く芸人や娼婦たちを題材とした作品など、見所いろいろ。
展示内容はバラエティに富んでおり、知っているようで知らない私生活や、晩年に関する情報までを、全5章に渡り紹介されます。
なかでも本展の大きな特徴でありチカラを入れ紹介しているのが、《素描》と呼ばれる、(ざっくり言ってしまうと)スケッチ/下絵。素描は量産できる版画とは異なり、基本1点もの。
地味な印象があるかもしれませんが、ロートレックの制作過程が垣間見れる貴重な史料であり、そもそも本来廃棄されていてもおかしくない《素描》が、これほどまで、しかも良好なコンディションで保存されている事実に驚くはずです。
■写真左/《帽子の男、後ろ向き》、写真右/《帽子の男、横向き》 ともに制作年不明/色鉛筆/紙
展示作品のハイライトの1つである、数多くの《素描》。会場には1点モノとなる多くのラフスケッチと出会える。
100年以上前にロートレックが見た同じ世界を、共有できるんです。これは貴重! ぜひ会場でじっくりご覧あれ。
展示会場派ゆったりしており、途中にはベンチも。展示作品の一部では、額装を立て掛けた立体的な展示がありますが、じつはこれ、1枚の紙の表裏に描かれた《素描》を見せるためのひと工夫なんです。
ちなみに《素描》とはラフスケッチであることは間違いないものの、すべてが下書きかといえばそんなことはなく、展示作品には、素描自体が1つの完成作品として成立しているとみなす場合もあるそう。
【第1章】素描
会場となる《SOMPO美術館》はユニークな美術館で、1Fのエントランスから入館後、まずエレベーターで5Fへ。その後階段等4F→3Fと下がって鑑賞*します。
*館内は一方通行ではなく、フロアの往来が可能。
第1章はいきなり、イベントの核ともいえる《素描》から。ロートレック作品の原点ともいえる、作家の筆致を感じさせる、1点ものとなる様々な作品が展示されます。
ちなみに本展公式図録によると、ロートレックの素描はなんと5000点弱(!)も存在するそう。
《アマゾン(女騎手)》1876年/鉛筆/紙
【第2章】ロートレックの世界
第2章ではロートレックの創作活動を紹介する際はずすことができない、キャバレ「ムーラン・ルージュ」を筆頭とする夜の世界をとらえた、素描や版画を紹介。
1880年代にパリ・モンマルトルにアトリエを構えてから、キャバレやダンスホール、劇場、さらに娼館といった歓楽街に通いつめたロートレックは、そこに生きる芸人たちを描いた作品を多数遺しています。
本章で展示される作品のなかでも、とくに注目してほしいのが《文字のせ前》と呼ぶポスター等の作品群。ポスターや書籍は、ロートレックが描いた原盤に、宣伝用の文字等をのせて完成させ掲示・出版されますが、ロートレックは作品が完成した際、依頼者に納品する(文字がのる)前に、自分用として作品を何部も実際に印刷していたんだとか。
当然それら文字のせ前作品は部数が少なく稀少性が極めて高いわけですが、フィロス・コレクションはそれらも所有。本展でもそれら作品が複数展示されています。
《キャバレのアリスティド・ブリュアン(文字のせ前)》1893年/リトグラフ
ムーラン・ルージュのお祭り/1893年/リトグラフ
《マルセル・ランデール嬢の胸像》1895年/リトグラフ
《「ル・カフェ・コンセール」》1893年/リトグラフ
【第3章】出版
第3章では、19世紀以降印刷技術向上により活発化した、「出版」というメディアとの関わりのなかで生まれた、書籍や雑誌などに使われた挿絵などの作品をフォーカス。
娯楽性の高い大衆紙から限られた人が読む媒体まで、数多くの出版物に作品を提供したロートレック。会場にはそれら出版物を彩った作品群のほか、一部作品では制作過程が垣間見れる展示を用意。文字をのせることを前提とした白抜きスペースの有無を比較できる作品など、興味深い作品が並びます。
■写真左/《君がため!(歌曲集『昔噺』)》1893年/リトグラフ
■写真右/《「君がため!」のための石版》1893年/石版
本章のハイライトは、鉛筆の素描、石版、文字のせ前の刷り、完成品までの一連の作品や素材が揃った状態で展示される歌曲集《君がため!》。文字のせ前の作品はもちろんですが、リトグラフで使う石版は印刷が済んだあとは、表面を削って再利用するため、石版が残っていること自体が珍しいとのこと。
《最後のバラード(歌曲集『昔噺』)》1893年/リトグラフ *左文字用白抜きあり
《「レスタンプ・オリジナル」誌 表紙》1893年/リトグラフ
《「ラ・ルビュ・ブランシュ」誌のためのポスター》1895年/リトグラフ
【第4章】ポスター
《エルドラド、アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレにて》1892年/リトグラフ
このエリア目当てに展覧会を訪れる方も多いのでは!? と予想される「ポスター」コーナー。
ポスターは野外に掲示するため、現存する多くが破損や変色しているなど、コンディションが悪いケースが多いそうですが、フィロス・コレクションは状態がいいものだけを蒐集しているそう。
会場では、数が出回っていない「文字のせ前」の作品も複数展示されています。
ちなみに、ロートレックのポスターは掲示された当時からとても人気が高く、貼られるとすぐにはがされていたほどだったとか。また、大型ポスターは折り畳まれていることがあるほか、ポスターは大判ゆえ石版を2枚使って印刷する場合も多く、インクの色調が微妙に異なるケースもあることを考えても、フィロス・コレクション所有のポスターはコンディションが極めていいそう。
《ディヴァン・ジャポネ》1893年/リトグラフ
《エグランティーヌ嬢一座》1896年/リトグラフ
「ルマルク」と呼ばれる、構図の外側の余白に配置しアクセントとする小さい版画作品も。
《傘を持つ男 「エグランティーヌ嬢一座」のためのルマルク》1896年/リトグラフ
《首吊り》1895年/リトグラフ
【第5章】私的生活と晩年
ロートレックの仕事である画家ではなく、友人や仲間に恵まれた人間関係などの一端が垣間見れる私的な作品のほか、貴重な写真資料、さらに直筆の手紙などを展示と、最終章を飾るに相応しい展示となっています。
こんな点にも注目を
今回の展覧会では、美術展等で付きものとなっている「音声ガイド」がありません。が、ご覧のように、ポイントとなる作品や資料の脇にはしっかり解説表示があり。音声ガイドがなくても充分楽しめます!
館内撮影は一部に限りOK! 撮影可能作品の脇にはご覧のパネルが掲示されています。
ミュージアムショップも
2Fには常設の「ミュージアムショップ」もあり、オリジナルグッズも多数販売中です。このショップは展覧会への入館に関わらず、どなたでも参加利用可能です!
関連小冊子の配布も
会場では、本展の関連コンテンツとして、日本における劇場文化と近代美術の交流や、大衆演劇と美術についてまとめた小冊子を無料配布中です。
夏休み企画として、小学生向けの無料ワークシートの先着配布も。詳細は告知サイトでご確認ください。
レポートまとめ♪
・ロートレッ作品240点あまりが揃う展覧会
・素描やポスターほか、コンディションのいい作品が多数
・人間ロートレックが判る貴重な資料展示も
いかがでしょう!? 美術展となるとちょっと堅苦しいイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、ロートレック展はイラスト展的な雰囲気もありと、美術館慣れしていない方でも足を運びやすいはず。夏休みを利用して家族で足を運んでは!?
SOMPO美術館といえば、ゴッホの「ひまわり」! 展示室ラストには、そのホンモノも鑑賞可能です!
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