プラスチックを循環させてSDGsに貢献を! 『ガンダムR作戦』ひとまずファイナルへ! ガンプラリサイクルって現状どうなの!?
昨今声高に叫ばれているSDGsの一環であるリサイクル問題。とくにプラスチックの循環利用の加速は待ったなしの至上命題といえそう。しかし現実は、意識こそ高まりつつあるものの課題は多いよう。そんなプラスチックはおもちゃの世界でも広く使われており、なかでもプラモデルはもっとも判りやすい商品ですよね。
そこで今回は、プラモデル業界を代表する商品である、“ガンプラ”界で行われているリサイクル事情をリポート。その最前線が判るイベント会場にオジャマしました!
*掲載内容は2021年11月19日内覧会時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
Ⓒ創通・サンライズ
そもそもガンプラってなに!?
『ガンプラ』は、ロボットアニメーション「ガンダム」の「プラ(スチック)モデル」のこと!
プラモデルといえば戦闘機やクルマ、お城、アニメなど、様々なジャンルが存在しますが、プラモデルといえばガンダム、ガンダムといえばプラモデルを連想する人は、きーっと、きーっと多いはず。プラモデルを語るうえでガンプラははずせない、それは1つのカルチャーといっても過言でないかもしれません。
そんなガンプラは1980年に発売以降、40年以上に渡り支持されてきた、子どもも大人も楽しめるメジャーホビー。2020年5月統計の累計販売で、な、なんと7億個を突破と、プラモデル界を牽引し続ける巨人です。
とくに1980年代初頭のガンプラブームは凄まじく、当時の状況をライブで知る端くれとしては、異常ともいえる熱気は、いまでは懐かしくもあります。オイルショックの際に我こそはとトイレットペーパーを鷲づかみとするニュース映像が稀にTVで放送されますが、それに似た光景がガンプラ売り場にはあり、あまりの加熱ぶりに抽選販売やジャンケン販売が当たり前のように行われていたことを鮮明に思い出します。多くの人がガンプラを求め、当時街にたくさんあった小さなオモチャ屋さんや模型店を自転車でハシゴしたものでした。
【ガンプラについての詳細はコチラへ】
https://bandai-hobby.net/site/whatsgunpla.html
ガンプラのリサイクルとは!?
プラモデルも少しずつ進化し、以前では考えられないほど緻密で精巧な作りとなっています。1980年代のガンプラしか知らない者にとって、現在のガンプラが「接着剤」も「塗装」も要らず組み立てできるなんて・・・。驚き以外の何者でもありません。
確実な進化を続けているガンプラですが、1980年の発売当時から極端な変化がないというのがランナー。
ランナーとはプラモデルの個々のパーツが連結されている、いわゆる“枠”の部分のこと。プラモデルはランナーにパーツが接続された状態で販売されており、ユーザーはランナーから1つずつパーツを取り外して組み立てるホビーです。パーツを取り外したあとに残るランナーは、ゴミとして処分されてきました。廃棄されるものですから、進化しなくて当然といえば当然かもしれません(ただし、太さをスリムにしたり、余計な枠をカットしたりなどの削減対策は実施されています)。
ちなみにランナーは、対象ガンプラにもよるもの、1つの商品に使っているプラスチックのうちの20%くらいを占めるそう。かなりの量です。
現在『ガンダムリサイクルプロジェクト』として行われている運動は、このランナーを回収してリサイクル化を加速させようというもの。
お恥ずかしながら、プラスチックは溶かせばいくらでも再利用できると思い込んでいた楽観的すぎるワタクシですが、プラスチックにも様々な種類が。単純には再利用が難しいとのことで、それはプラモデル界でも同様。てっきり1980年代からガンガンとリサイクルされているものと思い込んでおりましたが、(リサイクルをしていないわけではなかったものの)その進捗はスローなもので、現在のように回収を積極的にすすめていなかった以前は、多くのユーザーがそのままゴミとして廃棄していたそうです。
単純に溶かして固めれば・・・と思うかも知れませんが、再利用プラスチックでは商品の強度が保ちにくいほか、色ムラがある(色の再現性が悪い)など問題もあったそう。しかし近年技術が向上。一昔前では実現できなかった再利用が進みつつあるんです。ファンの間でも認知され始めている『エコプラ』と呼ばれるガンプラです。
『エコプラ』とは!?
ガンプラを手掛けるバンダイスピリッツが提案する『エコプラ』とは、組み立て時に残った先のランナー(枠)を回収し、それと生産の過程で排出された廃材プラスチックを原料として再利用(100%、もしくは一部)。ガンプラとして具現化した“再生プラモデル”のこと。つまり、こういったことです↓
絶対数こそ少ないものの、技術の向上により、現実のガンプラとして商品化もされています。
今回訪れたイベント会場では、実際に複数の「エコプラ」が販売されていました。
ちなみにリサイクルにも複数ジャンルがあり、「エコプラ」はそのうち
「マテリアル・リサイクル」
と呼ばれるもの。現在『ガンダムリサイクルプロジェクト』がすすめるリサイクルは、「エコプラ」が該当する、素材を再利用する「マテリアルリサイクル」のほかに、焼却時などに出る熱を電力へ還元する「サーマルリサイクル」、そして(回収素材を)新品のプラスチックへ戻して作り直す「ケミカルリサイクル」(実証実験中)という、3本柱で進行中。
言葉で説明するとちょっとわかりにくいため、図で流れで示すとこんな(↓)カンジです。
写真は今回オジャマしたイベント会場で展示されていた案内板を撮影したものですが、「エコプラ」は中央黒枠の部分。カタチとして“目に見える”リサイクルとしては、現状「マテリアル・リサイクル」の「エコプラ」が、(「ケミカル・リサイクル」が実証実験段階のため)現状もっとも進んだプランといえそうです。
『ガンプラリサイクルプロジェクト』の重要なポイントとなるランナーの回収運動は全国域で実行中で、全国津々浦々のバンダイナムコアミューズメント施設などに、ご覧の回収ボックスを設置。ゆくゆくは全国190箇所規模まで増やす方向と、チカラを入れています。■設置店舗情報はコチラ
余談ですが、回収ボックスの目印である「ハロ」(グリーンの球体のキャラクター)は、実際にランナーをボックスに入れると喋りますヨ〜♪ また両方の羽根は手動ですが、頭頂部にあるボタンを押すと開きます♪
ちょっと待って! なぜランナーしか回収しないの!?
そもそも気になるのが、なぜ回収する対象がランナーだけなのかということ。ガンプラによっては接着剤や塗料が付いていたり、デカール(ステッカー)や汚れがある場合もありと、プラモデル本体側のパーツは使われ方により状態が様々。状態が悪いケースも想定できます。異物の除去には手間とコストがかかるなど、現実問題としてハードルが高いことから、(回収素材の品質安定が見込める)ランナーだけに対象を搾っているそうです。
『ガンダムR作戦』とは!?
『ガンダムR(リサイクル)作戦』とは、そんな「ガンダムリサイクルプロジェクト」の活動をより広いユーザーに知ってもらうべく、2021年10月20日(水)から約1ヶ月間に渡り全国各地で行ってきた啓蒙キャラバンのこと。
その2021年の1つの区切りとして開催されたフィナーレイベントが、今回ご縁あり取材にオジャマさせていただいた『FINAL 2021』(2021年11月20日〜21日/新宿住友ビル 三角広場)というワケです。会場ではガンプラリサイクルの現状を中心としたエコ関連の興味深い展示や、ステージが行われました。
ちなみに、今回のR作戦の特別期間中に回収したランナーは、な、なんと1トン(!) 約1ヶ月間という短い期間ながら、全国31箇所で1トンものランナーが回収できたそうです! 凄い! ガンプラ恐るべし。
会場にはそのうちの10万枚のランナーが集められデコレーション。天井から吊した色とりどりのランナーに光をあてるなど、近づいてはじめてそれがランナーと判る、フィナーレにふさわしい煌びやかな空間のなかで開催されました。*終了後にはそれらランナーはすべてリサイクルへと回るとのこと。
会場では もう1つの重要なリサイクルの報告も
先に紹介した「エコプラ」が行っている「マテリアル・リサイクル」と並行してすすめているリサイクルがあり、それが
「ケミカル・リサイクル」
聞き慣れないこのリサイクルは、いうなれば究極の再生法。ガンプラ製造でメインに使われている「ポリスチレン」という種類のプラスチックを化学的に分解し、その原料まで戻すリサイクル法。
会場では、回収したランナーを無色透明な原料にまで戻すことに成功したことの報告も行われました。
再生ガンプラとして販売するまでにはまだハードルがあるそうですが、リサイクル100%の理想的なガンプラが生まれるのもそう遠い話ではなさそうです。今後の進捗にも乞うご期待♪
FINAL会場ではこんなコンテンツも!!
「エコプラ」無料配布! その場で組み立てOK!
全国の会場で『ガンダムR作戦』が大きな話題となっている理由の1つが、リサイクルの象徴的存在といえる「エコプラ」の組み立て体験キットを、なんと、無料でもらえること!! ■配布数は未公表
1/144のご覧のガンダムが1人1セットもらえ、その場で作ることができるんです。「エコプラ」はもちろん接着剤不要。取説ももらえるため、ガンプラ慣れした方なら3,40分、はじめての方でも1時間程度で完成させることができるそう。完成後に残ったランナーは、会場で回収! ハロの専用ボックスへ投函できるなど、来場者がリサイクルを体験できるイベントとなっています。
*無料配布のエコプラは組み立てず持ち帰りも可能
“実寸”のガンダムヘッドが!!
ファンならずとも大きな話題となっているのが、会場に用意されたガンダムの頭部(ヘッド)。全国各地から回収したランナーのうち3000枚を使い再現した、フィナーレにふさわしいメモリアルオブジェです!
骨組みこそワイヤーを使ったそうですが、表面は全部ランナー。微妙なアールもリアルに再現してあります!! スケールは1/1とのことですが、かなりデカイ・・・。このヘッドも、今イベント終了後、頃合いを見てリサイクルへ回されるとのことです。
アーティストと回収ランナーのコラボも!
作家メディアアーティストの落合陽一さんが、ランナーを使って再現したコチラは、な、なんと茶室! 会場では実際に室内でお茶をふるまう演出も。
先進技術を駆使した驚きの演出等で知られるNAKED,INC製作による、来場者参加型作品も。ランナーを花の幹に見立て、アプリを落としたスマホをかざすと、会場に花や草木が♪
特製フォトスポットも
来場者に楽しんでもらうべく、会場には全長2mの巨大なガンプラ(ガンダム)が。背景にあるのはランナーと、そこから抜け出たような感覚のなかで、一緒に記念撮影ができました♪
レポートまとめ♪
●「ガンダムR作戦」はガンプラのリサイクルの現状が判るイベント
●最新のエコプラと、近未来の再生技術を紹介
●再生ガンプラ「エコプラ」がもらえる!
●2021年度の開催は今回でラスト。2022年も全国で開催してほしい!
●ランナー回収プロジェクトは全国で継続展開中!
いかがでしょう!? ガンプラは見た目で判る精緻な作りだけでなく、素材面でも業界を一歩リードする存在となりそうな予感。ご自宅で眠っているランナーがあれば、ぜひお近くの回収スポットへ。ちなみに「FINAL」とはあくまでも2021のFINAL。今回のリサイクルプロジェクト自体は恒常的に続ける予定とのことです。最新情報は公式サイトでご確認ください。
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