『星のや竹富島』 島を思い、島と生きる。いつか泊まってみたい憧れのリゾート施設。ここでしかできない、特別な体験をぜひ!
オソトイコ番外編・『竹富島』リポート第2弾は、島内の施設を構える宿泊施設『星のや竹富島』をフォーカス。寝る、食べるといった単なる宿泊施設の枠で収まらない、島に溶け込み、島に生きる、共生する滞在型リゾートの、ならではの魅力、違いをご紹介します!
*掲載情報は2023年2月時点の情報で、内容を保証するものではありません。
*掲載写真はすべて編集部による。
『星のや竹富島』とは!?
『星のや竹富島』(沖縄県八重山郡竹富町竹富)は、“沖縄の原風景” が残る離島『竹富島』の東南エリアにある宿泊施設のこと。
「星のや」は、”圧倒的非日常感”な体験を味わえる、“和”テイストのプレミアムな宿泊施設として日本各地で展開*されていますが、名を冠する各施設が、それぞれの土地の風土、歴史、文化に根ざした独自の個性を持つなど、利用者に至福のひとときを提供する“リゾート”という言葉がぴったりな施設です。“いつかは、星のや・・・。そう願う方も多い人気施設です!
*2023年現在、国内6箇所、海外2箇所展開中。
【星のや竹富島】https://hoshinoya.com/taketomijima/
【ブランド公式サイト】https://hoshinoya.com
そんな「星のや」の軽井沢、京都に続く3番目として、2012年(平成24年)6月1日に開業したのが『星のや竹富島』。そのコンセプトは、“ウツグミの島に楽土”。ウツグミ(うつぐみ)とは、「共生」「共存」「協力」「おもいやり」を意味する方言であり、団結して生きてきた島民のみなさんの絆の深さ、強さを顕著に示す言葉です。
『竹富島』は、1972年(昭和47年)の沖縄返還前後に、格好のリゾート地になりえるとして日本本土からやってきた開発業者により土地の買い占めを受け、島民が守り続けてきた自然や伝統、文化の崩壊を招きかねない事態に直面した苦い経験があります。
その事態に対し、島民は自らを律する強い方針となる「竹富島憲章」を掲げ、島民同士が一致団結(うつぐみ)して島を守り続けてきたという側面があります。
憲章には、基本理念として「売らず」「汚さず」「乱さず」「壊さず」「生かす」と明記されており、その後幾度となく訪れてきた外部からの開発に対し断固たる行動を示し続けてきました。そのため、「星のや」の開業には当初かなりの反発があったそう。
そんななか、島民の同意を得て『星のや竹富島』を開業することができたのは、本土企業に買収され、その後所有権が移っていた外資系ファンドから土地*を買い戻したうえ、開業した宿泊施設の運営費でその借金を返済。返済完了後には、その土地を本来あるべき『竹富島』の活性化のため活用し、次の世代へと自然、文化、伝統を継承させていくという、観光で地域に貢献する具体的プランに理解が得られたため。
*83ヘクタール。島の約1/6に相当。
文化や風土といった島独自の良さを大切にし、それをつないでいくという思いを、直接説明会を通じじっくりと時間をかけて繰り返し伝え続け開業に至りました。
宿泊施設があるエリアを含め買い戻した土地は、長年放棄され続けた結果、ギンネムという外来種が生い茂る雑木林となっていたそう。施設開業にはまずその伐採からと、在来種を残しつつ開拓開始。写真は敷地内に残されている、『竹富島』固有の在来種「ガジュマル」。精霊が宿るという神聖な木。
エリアが1つの“集落”に
買い戻した土地83ヘクタールのうち約7ヘクタール(2万坪)を活用する『星のや竹富島』は、木造平屋の赤瓦屋根、琉球石灰岩の石垣、そして白い砂の道を軸とする、島内中央にある集落と同じような光景が広がる宿泊施設です。
島内中央部の「集落」と同じような光景が広がるエリア内。白い砂の道はくねくねと曲がっていますが、これは『竹富島』に古くから伝わる魔物が、直進しかできないという言い伝えにあわせ、あえてそうしているそう。
島の景観に溶け込む様は、それ自体が1つの集落のよう。全部で48ある客室は、1つ1つがすべて個別の棟(一軒家)であるなど、“暮らすように滞在(宿泊)できる”という表現がぴったり。ゆったりと漂う空気感がなんともいえず心地いい。まるで別荘に来たような、贅沢すぎる錯覚を味わえます!
客室は1棟ずつ個別となっており、『竹富島』の伝統的民家に宿泊する感覚を味わえます。本家の集落同様、「マイヤシ」と呼ぶ目隠しの石垣や、1棟ずつ表情が違うシーサーも屋根に。
各棟のほかに、エリア内にはホテルのロビー的な役割を果たす「レセプション」、ワークショップほか、島文化を体験できる「ラウンジ」、さらに「プール」などもあるんです♪
利用客がまず案内される「レセプション」で一時待機。宿泊する棟までの移動は、荷物などもあるため電動カートを利用しますが、エリア内は徒歩散策ももちろん可能です♪
エリア奥側にある標高約10mの「見晴らし台」は、エリア内全域のほか、太平洋を見渡すことが可能。朝夕にも訪れたい絶景スポットです!
中央に見えるのが、リゾート感満点のプール(淡水)。全長46m×最深部140㎝の楕円型。すり鉢形状となっており、足先だけつけてリラックスなんてことも。水温はつねに32度でキープされており、24時間365日入ることが可能。夜間頭上に広がる、満天の星空も見物です! ちなみにプール造成時の掘削で排出された琉球石灰岩が、施設の石垣にも再利用されています。
気になる客室は!?
48構える客室はすべて一軒家。赤瓦の平屋はもちろん、建物を囲む石垣、「福木」と呼ぶ防風林、白い砂の庭と、『竹富島』の伝統的住居体験ができるため息が出るほどの贅沢さにうっとり♪
客室はタイプ別に3種類あり、「ガジョーニ」「ズーキ」「キャンギ」という名は、すべて島の伝統的な樹木からとったそう。
今回拝見させていただいたのは「ズーキ」と呼ばれる客室。敷地面積は260〜300㎡、客室は66㎡。ファミリー向け。
全室、日当たり良好な南向きとなっており、「風の間」と呼ばれるリビングでは、扉を全解放することで、風が南から北へと流れる「南風(ぱいかじ)」を体験できる設計です。
*建物外観とその周囲は島の伝統に則ったものですが、建物内部は独自視点で設計しているとのこと。
心地いい南風を感じながら、優雅すぎる入浴を楽しめます♪ リゾートならではの開放感、味わえます!
寝室はこんな様子。布団がふっくら〜。ぐっすり眠れそう・・・。
ちなみにチェックイン&アウトはすべて客室で行うことになっており、チェックイン時にはご覧のようかんとハーブティーのおもてなしが。ようかんは植物の「月桃(げっとう)」を盛り込んだ、こだわりの逸品です♪
宿泊予約は2泊〜
『星のや竹富島』では島の文化や自然に長く触れてもらうべく、宿泊は2泊以上としているそう。食事の予約も基本1回のみとして、残り2回分は島内の集落で楽しんでもらう方針であるなど、島にお金が落ちるよう配慮しています。
海水を飲み水に!
『星のや竹富島』は開業後も様々な施策を実施し、島や島民との共生、伝統文化の持続の可能性を探っていますが、なかでも大きな取り組みとして話題を集めているのが、2021年2月から運用している“海水の淡水化”設備です!
企画から稼働まで2年かかったというこれは、文字通り“海水を飲み水(生活用水)に変える”もの。『竹富島』島内で利用できる水量に限りがあることや、深刻化しているペットボトルの排出量を削減する術*、さらに自然災害等で水の供給がストップした場合の対策として導入されました。
*客室で消費される、提供ペットボトル入りミネラルウォーターは年間約4万本以上。淡水化にあわあせ、ウォー タージャグやサーバーを設置することで、ペットボトルゴミを実質ゼロに。
心臓部となるマシンは、1分間に70リットルもの淡水を生産することが可能。
『竹富島』の生活用水は隣接する「石垣島」からの海底送水でまかなわれていますが、その設備自体も稼働からすでに40年を超えており老朽化対策が必要となっているほか、『星のや竹富島』が1日に消費する約66tもの水量も大きな負担に。この設備で1日に60tの海水を蒸留することで、消費負担を大きく軽減しようという狙いです。
稼働状況がリアルタイムで分かるコントロールパネル。たった3つスイッチで操作できるそう。万が一のトラブルに備え、現地だけでなく、遠隔操作できるシステム構築済み。
1日6時間程度動いている『海水淡水化熱源給湯ヒートポンプユニット』と呼ぶ機器は、太陽光で発電させた電力を動力源としており、災害時でも自立して稼働可能です。
日産自動車の電気自動車「リーフ」の中古リチウムバッテリーも有効活用しており、停電しても3〜4時間は蒸留できるんです。驚くべきは、その中古バッテリーの数。リーフわずか1台分とのこと!
この設備でのポイントの1つが、蒸留時に上昇する水温を10度程度まで下げる工程で発生する熱を利用して、「お湯」が作り出せること。万が一の災害時に「水」「電力」、そして「お湯」を安定供給でき点は大きなアドバンテージで、災害時に島民の方が避難できる「竹富町」島民の指定避難所としても利用できることから、環境省認可取得。システム構築にかかったコストの50%が、補助金でまかなわれたそうです。
ちなみに海水は直接海からではなく、地下16mの井戸を掘り、11m地点からくみ上げ。通常海水の塩分は3.5%程度ですが、採取地点では「雨水」と混ざり2%まで希釈。淡水化しているのはこの海水です。水質がいいため、フィルターへの負担も少ないとのこと。
今回実際に淡水化した海水を飲んでみましたが、まったくもって普通の水。違和感、一切ありません。蒸留された水は「軟水」で、とても飲みやすい〜。元々海水だったとはまったく分からず。指摘されない限り分かりません。
動力源となる太陽光パネルは全150枚。蓄電池機能も一体化しているそう。ここで集めた電力は淡水化装置駆動のほかに、施設内でも消費されているそう。稼働以降、電気代がなんと1/10以下になったそうです!
余談ですが、淡水化ユニット本体含め、関連装置自体は相当大型のもの。『竹富島』現地で1から設営では輸送など、問題があるため、鹿児島の工場で組み立てたものを5分割にして島に持ち込み、コンクリートではなく、石垣に使われる琉球石灰岩で作った基礎の上に設置したとのこと。
資源と暮らしを考えるツアー♪
『星のや竹富島』が行っている取り組みで、ぜひ参加をオススメしたいのが「ふれあい まいふなー*ツアー」と呼ばれるもの。
*「まいふなー」とは「いい子」「お利口さん」を意味する方言。
『竹富島』の限りある資源や自然、暮らしについて考えてもらう切っ掛けとして、2022年(令和4年)5月から始まったもので、環境保全啓蒙を狙った既存ツアー「井戸巡り」に加え、「島の暮らしと水」をテーマとしたコンテンツを追加した有料ツアーです。
ペットボトルのキャップを再利用し製作するキーホルダー。現在のところ、製作体験ができるのは「まいふなーツアー」参加者だけです。
このツアーは『竹富島』の保全活動を続け、『星のや竹富島』とパートナーシップ協定を結んでいる「一般社団法人 竹富島地域自然資産財団」と協力のもと開催されており、「石垣島」からの海底送水が始まる1976年(昭和51年)まで現役で使われていた“カー”と呼ばれる井戸を巡り水のありがたみを知るほか、漂着ゴミ問題が深刻となっている「コンドイ浜」「西桟橋」付近のビーチクリーン活動を実施。さらに廃棄プラスチックを使った「ウミガメ型キーホルダー」作りのワークショップを通じ、島への理解度を深めてもらおうというもの。
【参加料】3000円/1人
【開催時間】8:30〜10:30
【開催】毎週火曜日・水曜日
【定員】最大2組(2〜4名程度)
【告知サイト】https://hoshinoya.com/taketomijima/experience/new-maifunatour/
島の農業を継承する“畑プロジェクト”
長く自給自足を行ってきた『竹富島』ですが、観光業の発展とともに、暮らすの基礎となっていた農業が少しずつ失われつつある現状を鑑み、『星のや竹富島』では次世代に残すべき農業・畑文化を自ら実践し、継承していく「畑プロジェクト」を2017年にスタート。島民の方の知見を得ながら、農作物を実際に栽培・収穫しているんです。
収穫される作物は、島の伝統作物である「粟」のほか、「竹富芋」「麦」「豆(クモーマミ)」「落花生」「島にんにく」など、いろいろ。山や川のない『竹富島』は耕作地として決して最適な土地柄ではなく、主食は長く「芋」でした。
「畑プロジェクト」ではその芋を使った「ンヌイ」と呼ぶ団子を作り提供するなど、その時々の収穫物を使った料理等を提供しているほか、催しとして収穫体験を開催するなど、イベントも積極的に行っています。
レポートまとめ♪
いかがですか!? 宿泊施設といえば泊まって寝るだけ・・・という方も多いかもしれませんが、『星のや竹富島』は地域密着型。それもディープに。滞在(宿泊)することで見えてくる島の良さは旅をより有意義なものとするでしょうし、オープンな島民の方とも接する機会も増えそうな予感。島を思う気持ちだけでなく、行動に移している姿勢に好感が持てますよね!
星のや竹富島
・沖縄県八重山群竹富町竹富
・チェックイン/15:00、チェックアウト/12:00
・宿泊料金、問い合わせは公式サイトで確認を
・通常予約は2泊〜
・アクセス/石垣港からフェリー10分 竹富港から送迎あり
https://hoshinoya.com/taketomijima/
島をグルッと巡る環状線からはずれ、ひたすらずっと自転車をこいだ先にある『星のや竹富島』。青々とした緑、青い空、すがすがしい空気を肌で感じつつ、ぜひサイクリングもお楽しみあれ〜♪ *途中、道が悪い場所があります。ご注意を。
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